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第二話

20210913改訂


 江戸から京に向かうまでの道中、特に問題はなかった。ひたすら歩きっぱなしのせいで、俺の足の裏のマメがひどいことになっているくらいだ。

 あ、そういや俺は毎晩の宿を確保するお役目を賜ってたんだけど、ある日、芹沢さんたちご一行の分の宿をとり損ねてしまった。そしたら芹沢さん、俺らの泊まってる宿のまん前でキャンプファイヤー始めちゃったのさ。面白そうだったんで俺も一緒に参加して、オクラホマミキサー教えてあげた。いかつい野郎どもが集団でオクラホマミキサー踊ってる姿ってのはなかなかに見ごたえがあったぞ。俺はそんなシュミないので傍から見て大爆笑してただけだけど。

 

 というわけで、つまんない徒歩の旅は省略して、京都に到着しましたよっと。実はちょいちょい色んなことがあったみたいなんだけど、俺が直接関わったのはオクラホマミキサーだけだし。

 

 京都では、お金持ちのヤギさんって人のところにお世話になるらしい。場所は、壬生。あれだほら、新選組が壬生の狼とかって呼ばれるのは、この場所に居たからなんだ。多分。

 


ちなみに俺たちは、れっきとした幕府のご命令で、将軍様をお守りするために京都に来たわけだったんですが、なんと俺らのトップの清河さんは、幕府を裏切って尊皇攘夷活動する気マンマンやったらしいとです。で、それが幕府にバレた。

 解散して一旦江戸に帰って来い、という命令が正式に出されたので、俺は一人、意気揚々と帰り支度をしていました。

 

「俺らは将軍様を、ひいては京都を、日本を守るためにココまできたんだろうがっ! 手ぶらでのこのこと江戸に帰れるかよ!!」


 近藤さんにキュッと首を絞められてしまいました。そんなん俺知らんがな。無視してパンツ……はまだこの時代にはないので、すんげー苦労してしめ方覚えて、今ではむしろこっちの方がしっくりくるというフンドシをカバンに詰めていたら、この人ガチで首絞め始めました。ギブギブ! 落ちる! マジで逝っちまう!!

 

 そんな感じで俺涙目。いまだに八木さんちにお邪魔しているなう。

 八木さんもイイヒトなので、なんか好きなだけ泊まっていって下さいとか言ってる。いっそ追い出してくれてたら居場所なくて帰れたのに。親切は時としてアダにもなるとですよ。

 俺は何もせず八木さんちで引きこもっていた。でも他のみんなはこのままじゃヤバイと思ったのか、働き口をあちこち探していたようだ。やがて俺たちはまとめて、京都守護職松平肥後守容保公預かりとして、京の警備を担当することと相成りました。ニート脱却、ヤギさんもほっと一安心。俺も別に働くのが嫌なわけではないので、問題無し。

 ところでさ、松平容保公ってあれだよね会津の殿様だったよね。その人が京都守護職で、んでもって地位は肥後守(現代の熊本らへん?)。ドユコト? 江戸時代ってそういうところテキトーだよなあ。給料は熊本からゲットして、実際の仕事は京都でやってて、出身地は福島ってこと? そーゆーコト?

 

 というわけだ。一番最初の目的であった将軍様の警護も問題なくクリアし、容保公のご命令である京都の警備もしっかりとこなし、うっかり相撲取りとケンカしたり、その後「強敵と書いて『トモ』と呼ぶ!」くらいの勢いで彼らと意気投合して、せっかくのご縁だからと八木さんちの裏の壬生寺で相撲興行ひらいてみたりもした。

 単に興行をするだけだとおもろいだけで終了してしまうので、俺は主に物販やってたわ。お相撲さんのサイン入り手形売ってみたり、名前入りの手ぬぐい売ってみたり、ついでに屋台出してショバ代取ったりとかね。あらやだコレ結構儲かるじゃないの。でも、初回はお相撲さん達のボランティアでギャラ無しだったんだけど、次からはお金かかるそうなんで辞めた。そうよね相撲興行だけでこんなに儲かるわけないものね。しょぼん。

 色々と手広くやっているようにも見えなくもないけども、基本は街の警備。ちな俺は自宅警備員。だってさほら、危ないことしたくないじゃん! AKB守るためなら怪我すんのもやぶさかじゃないけどさ。リアルな話、死人出てもおかしくない状況だったから。つかうちの芹沢さんがしょっちゅう街で揉め事起こしてて、なにが警備だっていう話もちらほら。むしろ治安を乱してる俺ら。アカン(確信)

 とうとう腹に据えかねた近藤さん達が、芹沢さんを殺っちゃってしまっていた。殺すほど悪い人じゃなかったんだけど……身内(主に俺)には優しい人だったしね。俺にはない豪胆さと緻密さを兼ね備えつつ、街の人からはユスリタカリを繰り返し……やっぱアカン。

 基本的に芹沢さんは苦手なタイプなんで最初は避けまくってたんだけど、八木さんの娘さんが亡くなった時に、葬式で一緒に受け付けやった。んで暇な時間にしゃべってみると、身内をすげー大事にする人なんだってわかったんだ。八木さんの話してるときには「娘が先に逝くなんて、心中察するに余りある」とかいってオンオン泣いてたし、俺が余った紙にラクガキしてるのを覗き込んで「下手糞が、俺にちょっと描かせてみやがれ」って、ガチで超かわいいウサギの絵をスラスラと描いたりなんかして。悪人ヅラなのに。

 ああ、思い出したら悲しくなってきた。そのとき以来、俺が芹沢さんに懐いてたもんだから、暗殺のときは俺だけ蚊帳の外にしてたんだってさ。

 

 あとは何かあったかな。ああ、一回だけなんだけど、天皇のいる御所の警備にも駆り出されたよ、何もなかったけど。

 でもなんかそのときに、ただの浪士組だった俺らの集団に『新選組』というあの有名な名前をつけていただいたらしい。正式な隊名を幕府からもらえたって、近藤さんがはしゃいでた。華麗にスルーした。

 

 

 事件らしきものはそのくらいなんだけど、全然関係ないことなんだけど、自慢したいから聞いて聞いて。

 ほら、俺の外の人ってばイケメンじゃん? 京でもあっという間にモテモテ美男子ナンバーワンになっちゃってさ。出かけるたびに恋文もらいまくり。読めんけど。

 ただ、この時代には変な流行があってだね。恋文で石を包んで、思い人にぶつけると恋が叶うとかいうおまじないが女の子達の間でまことしやかにささやかれてたらしいのよ。

 それだけなら全然可愛いんだけどさ。中にはこぶし大の岩を詰めて俺の頭部に大谷レベルの速球ぶちかます剛の者もいて、うっかり俺様またしても死に掛けたとです。嫌じゃそんな死に方は嫌じゃー!

 ま、何とか事なきを得たわけですが。俺の元に届いた大量の手紙と石……石はともかく手紙はね。ほら、人生初めてのモテ期。捨てるのもアレだし、かといって放置してたらどんどん量が増えてくるんだわコレ。しまい場所にも困り始める始末だったんで、せっかくだからと兄貴達に「いいだろ既婚者m9(^Д^)プギャー」という手紙とともに実家に送りつけてやったm9(^Д^)9mザマァwwwww


 そんな感じで文久三年は通り過ぎてゆきましたとさ。あ、あと給料を毎月四十両もらえることになりました、やったね!




 さて、ここらでちょいと隊内の様子についても話しておくことにしよう。

 まず京にやってきた当初の状態。隊内は主に芹沢派と近藤派に分かれて、表立って抗争はないものの、若干ビミョーな空気が流れてました。そこで、近藤さんがまとめるために、あと芹沢さんが町荒らしてたのもあって、芹沢一派を粛清したとです。結構汚い手も使ったみたいだけどね。俺蚊帳の外だったんでシラン。

 それにより、ほぼ全員が近藤派となって落ち着いたとです。

 あ、そうそう、それより前、えっと、江戸を出た後くらいの道中にね、俺が局中法度を作りました。何せ、ならず者の集まりだからさ、血の気の多すぎる奴らばっかりだったからさ、まとまりのあるルール作らないと俺多分殺されると思ったのよ。確か実在の新選組にもこんな感じのがあったような気がするしね!

 で、こんなん出ました。


 一、士道にそむくことなかれ


 これは近藤さんが勝手に第一文に入れた。あの人、武士って言葉にコダワリがあるみたい。


 一、局を脱するべからず


 これは宗次が入れた。『これは絶対必要ですよね』とか笑顔で言われたんで泣く泣く入れた。

 俺は入れたくなかった。だって逃げ出せねーじゃん、俺が!


 一、勝手に訴訟を扱うべからず


 これは山南さんの案。小難しい言葉で説明されたんで素直にわかりませんっつったら『争いごとの元となるようなことを、勝手に自分達で処理せずに上司に相談させるように』ってことらしい。

 正直いまいちまだよくわからんけど、まぁ山南さんが言うんだから間違いは無いだろう。


 一、私事の闘争を許さず


 コレは俺。個人的なケンカはやめなさいってね。主に俺に対して効力は発揮されるのだフハハハハ。俺に喧嘩売ってきやがったら切腹させてやるぜ!


 一、隊内の色恋事を禁ず


 やばかったの、マジでやばかったの! 俺明らかに複数人から尻狙われてたの!! アッー!!

 とはいえ、個人の趣向にまで口出しはしたくなかったので、隊外では自由ってことで。俺が襲われなければいいのさ。

 まだちょっと怪しい目つきの奴が何人か残ってるけど、近藤さんと一緒になって『法度を破りし者には切腹を申し付ける! 場合によっては処断も辞さん!』とかいって脅かしたので多分大丈夫、だといいな。


 以上です。ま、基本的には当たり前のことばっかだべ? この程度も守れないような奴は先生知りません。


 

 そーれから。俺、禁門の警備以降、結構な額の給料をいただけることに相成りました。けれども全額貯金中。とりあえず住む所とメシには困らんしな。ついでに昔食わしてもらったばーちゃんの実家のタクワンがひじょーにウマかったので、土下座して頼み込んでソイツを大量に漬けてもらって、局内の奴らにもタクワンでメシを食わせた。食費削減です。浮いたお金は全部貯金に回すとです。……あ、誤解の無いように言っとくけど、一応ちゃんと給料は出してるからね? それで隊士が何を食おうが自由。ただし局内でだすのはメシとタクワンだけ!

 そうやって俺は、来たる日のためにチマチマと小銭を稼いでおったとです。……なんせ人数が多いから、こんなことでも割と貯まるもんなんだよね。

 それに会計方にも厳命を出して、とにかくできる限り、いたるところで節約させまくった。今のところ、隊内のお財布は俺が握っているも同然です。芹沢さんがいた頃には無駄遣いも多かったんだけど、今やそれもなくなってサクサクと貯まる貯まる! うーん、数字になって現れるとやりがいを感じちゃうね!

 新選組の愉快な節約生活はどうでもいいとして、そんなこんなで五百両くらいは貯まったかな? 俺の給金と、組の余剰金を合わせて。

 これを使うのは、もう少し先の話。ふっふっふ、俺様年表に重要な出来事が書いてあるのだ! その時まで俺は必死になって金を貯めるのだ! 文句言う奴死刑。俺が法律じゃー!!


 あと、さすがにヒキコモリやって給料貰うってのもアレなので、俺は主に雑務やってました。隊士達のシフトの調整とか、奉行所に届ける書類の作成とか、あとパシリとか、とにかく斬ったはったに巻き込まれないためにもできることなら何でもやったね。特に近藤さん以下組長達のご機嫌はとっておいて損は無いと思ったのさ。時には島原までパシらされ、時には見回り代わってあげたり、時には愛人との痴話喧嘩を仲裁したり……俺本当に新選組の中で二番目に偉い人なの? ってーくらいには働いてると思うぞ。

 そのおかげか、隊内ではすこぶる人望が厚い。でもしめるところはびしっとしめてるからね。切腹申し付けたりもしてるし。……本当はすごく嫌だけど、直接手を下すよりは少しだけラクだから。胃が痛くなって次の日とかメシ食えなくなったりもするけど。それでも、近藤さんは旗頭であり御輿だから、そういう汚れ仕事はさせちゃいけないって思って俺頑張った。

 なのにあの人、自分から芹沢さん達を殺しに行っちゃったんですけど! 慌てて、芹沢さんが死んだのは長州のせいってことにして、しめやかに葬式も出しましたよ。あの人絶対、俺の苦労わかってない……。

 

Jリーグが無いとつまんない(W杯中断期間中)

J2見にいこうかなあ。


20210913

サッカー最高!サガン鳥栖最高!

試合結果以外のことは先生知りません。


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