黒幕の再会と強制融資
人混みの向こう、柄の悪い二人の屈強な傭兵を連れて歩く、小柄なレプラコーンの男の背中を見つけた。
「ちょっと、ギムレット。待ちなさいよ」
「なんだあ?」
ギムレットは、いかにも裏社会の人間らしい野太い声で振り返った。が、その顔が私を捉えた瞬間、まるで幽霊でも見たかのように青ざめ、膝がガクガクと震え始める。
「せせせせ、セレスティーヌ様……!? どどどど、どうしてこちらへ? 貴女様は、その、塔で優雅に……」
「色々あんのよ。事情を説明させたいの?」
私は困惑して武器に手をかけようとする傭兵たちを、羽虫でも払うような手つきで押し退けた。ギムレットに堂々と迫り、逃げ道を塞ぐ。
公共事業の利権斡旋、密輸船のための哨戒ルート変更。そして、私自身の足がつかないよう、帳簿が調査官に渡る前に王族の権限で物理的に「消去」してきた過去。
ギムレットにとって、私は単なる軟禁中の姫ではない。自分の組織の命運を握る、底知れない黒幕にしか見えていないのだ。
私はギムレットの肩に親しげに腕を回し、耳元で愛を囁くような距離で、最大級の脅迫を始めた。
「ねえ、ギムレット。お金、あるんでしょう? 貸しなさいよ」
「な、なにか……なにか入り用でございますか? 組織の不備がございましたら、すぐに修正を……」
「あんたは黙って貸せばいいの。私が連れている『馬の付属品』がうるさくて、まともな食事もできないのよ。分かった?」
私が目を細めて微笑むと、ギムレットはひっ、と短い悲鳴を上げて首が折れるほど激しく頷いた。
「もももも、もちろん! もちろんでございます! セレスティーヌ様のお望みとあらば、組織の総力を挙げて……!」
しかし、ギムレットは震える手で懐を探り、困り果てたような顔をした。
「……ですが、あいにく今は物騒なもので、まとまった額は持ち歩いておりません。もしよろしければ、すぐ近くの私どものアジトまでお越しいただければ。そこで最高の……あ、いえ、精一杯の献上をさせていただきます」
「そう。案内しなさい。……ああ、その前に、マック・ナイトのドライブスルーに寄れるようなら最高なんだけど」
「はい、勿論です。すぐに買いに向かわせます!」




