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お節介イケメン騎士のせいで快適引きこもり生活を奪われたので、詫びに豪華旅行を満喫できるように強いらせてもらいます。  作者: 逆立ちハムスター


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血税の集積地2

道すがら、私は最後の力を振り絞って、通りすがりの巡回衛兵二人に助けを求めた。


「そこのあなたたち! 助けて! 私はアステリア国の……!」


 衛兵たちは一度足を止め、私と、それからアルフレッド、最後に私たちの足元の「雑巾ボブ」をじろじろと眺めた。


「おい、確かにアステリア国の姫様に似ている気がしないか?」

「いいや、傭兵上がりの俺たちから見れば、どの国の王族か判別なんてつかんよ。それに……」


 衛兵の一人が、ボブの鼻面に付いた乾いた泥を指差して鼻で笑った。


「姫様が、あんな四足歩行の雑巾に乗るわけないだろ。死んでもお断りって言いそうだ」

「ハハハ、確かにな!」


 無情にも、彼らは背中を向けて去っていった。


「……ああ、もう。喉が痛いわ」


 叫ぶ気力も失せ、枯れ果てた声で呪詛を吐く。

 その時、街の雑踏の中に、見慣れた後ろ姿が目に入った。あの歩き方、あの独特の仕草……間違いないわ。


 私は、アルフレッドの甲冑をぺしぺしと叩いて、指示を飛ばす。


「ねえ、アルフレッド。先立つものがなきゃ不安よ。今のうちに、あんたはあんたで軽く稼いできなさい。そこの広場で筋肉でも売ってくればいいじゃない。私は少しあっちの市場を見てくるから」


「おお! 街の経済を学びに行かれるのですね! 承知しました、セレスティーヌ様。この腕っ節で、最高の夕食代を稼いでみせましょう!」


 アルフレッドが意気揚々とボブを引き連れて離れていくのを見送り、私は地面に降り立った。足はまだ痺れているけれど、自由の身だ。


 追いかける時、ふと思う。

 ……ねえ、これ。このまま「とんずら」すればいいんじゃないかしら?


 アルフレッドはあっちに消えた。私は今、一人。ここには知り合い(らしき人物)もいる。このまま逃げて、どこか別の街で優雅に隠居し直せば……。


 けれど、私はすぐに考えを改めた。


 お城の生活は最高だったけれど、たまには旅行や観光もいいかもしれないわね。何より、もしこの後で捕まったとしても、「私はこの筋肉ダルマに脅されて連れ回された被害者です」と泣き真似をすれば、全部あいつのせいにできる。私にお咎めはない。


「フフッ……あいつを便利な『盾』にしながら、私は美味しいところだけ頂くわよ」


 私は口元を歪め、人混みの中へと消えた「見慣れた背中」を追いかけて、軽やかに駆け出した。

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