①
目を覚ます。時刻は丁度午後0時。
朝の時間から5時間近く経過している。
視線を感じる。感じる方向を見ると、圭介が僕の方をずっと見ている。
「パパだいじょうぶ?」
「圭介、見ててくれたのか?」
「パパ、ないたりおこったりしてた」
「え?」
「だから、しんぱいしてた」
俺は圭介の頭を撫でる。心配を取り除くように。
「ありがとう圭介。大丈夫。パパは心も体も強いから無敵なんだ」
「うそつき」
「嘘じゃないぞ!そうだ。じいじはどこにいるか知ってる?」
「しってる」
圭介が案内してくれるようだ。
俺は圭介の後に続いた。
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「じいじ」
父さんは台所で昼ご飯を作っていた。
俺の姿を確認した父さんは何かを察したのか、圭介に携帯ゲーム機を渡し、リビングに移動させた。
「楓に停められているのに」
「大丈夫さ。事情を話せば受け止めてくれるよ」
父さんは料理を一度停め、椅子に座った。
「…分かったか?」
「うん。色々と。だから父さんと答え合わせをしようと思ったんだよ」
父さんも覚悟を決めたのか、俺の目を見つめたか
「分かったことを話してくれないか」
怒っているわけでも、悲しいわけでもない。でも、父さんからは何か圧を感じる。形容し難いが、父さんの責任のようなものか。
「まずは、明実さんとはるかさんについて。明実さんは、草間の妹。はるかさんは過去に俺と親しい関係だった」
「…俺か」
「何か、僕よりも俺のほうが今は使いやすいんだ」
自然と一人称が変化していた。俺は今の方が自分に合っていると感じている。
「そして、一番大事なことを伝える」
−−−−康太くん、雫さん、本田さん
−−−−彼等と俺は家族だった。
−−−−そして、父さんとは家族ではない。
沈黙が続く。空気が重い。この場から逃げたい。
「…その通りだ」
「父さんは、俺とどのような関係性だったの?」
「…お前の本当の父さんの弟だよ」
つまり、父さんは俺にとって叔父にあたる存在だった。
「…」
「…真実を知って、どう思った。何を感じた?」
「…一度負の感情に流されそうになった。でも、昔の自分が留めてくれた。そして、父さんや友樹、唯、楓、圭介。俺には自分以上に大事な人がいる。その人たちを、そして、俺は俺自身を守ってやりたい。本当の自分で、大事な人たちと向き合いたい」
俺の思いを聞き、顎髭を触りながら考え込む。そして、父さんは過去の話を始めた。




