⑪
「どうだ?何か思い出せたか?」
薄っすらと、断片的に、ふんわりと。何かが見える。何かが聞こえる。
港の倉庫よりは小さいが、構造が似ている一軒家。庭で、僕は康太くんと遊んでいる。
チョッパースタイルに改造したバイクを自慢気に語ってるはるかおねえちゃん。
雫さんが僕の頭を撫でながら絵本を読んでくれている。
本田さんと鬼ごっこしている僕。
康太くん、雫さん、本田さん、はるかおねえちゃん、そして、僕。5人で家の近くの浜辺でバーベキュウをしている。
ノイズ音が聞こえる。
つながる。思いだす。よみがえる。
ぐるぐるぐるぐるぐるしている。
体の震えがとまらない。吐き気に我慢できず、嘔吐を繰り返す。もう何も出てこない。
痛い。何が痛い?どこが痛い?どうして痛い?
草間は?草間はどこだ?お前のせいだ。お前のせいだ。お前のせいだ。後藤が元凶だ。後藤が元凶だ。
許せない。返せ。全てを返せ。僕−−−俺から奪った全てを奪い返す。
どうしたらいい?殺すしかない?殺してもダメだ。もっと違う方法を−−−−
『ぼくはよわい』
−−−−昔の自分
『それでいいの?こうなりたかったの?』
−−−−そうじゃない
『だいじなものできたんだよね?』
−−−−そうだ。
『じゃあ、これでいいの?』
−−−−ダメだ。
『どうしたいの?』
−−−−守る。俺は俺を守る。そして、本当の自分をつかむんだ。
『がんばって。ぼくならできる』
冷静になれた。ちぐはぐだが、過去の記憶を思い出せた。
答え合わせをしなくてはいけない。その相手は−−−−
父さん−−−−
意識が薄れていく。もう少しで目を覚ます予兆を感じる。
目を覚ましたら、父さんと答え合わせをしよう。そして、過去の出来事について詳しく教えてもらおう。
そう考えている内に、意識は完全に途切れた。




