⑥
「…そう。私の旧姓は草間。なんで分かったの?」
「それは後ほど説明します。もう一つ伺いたいことがあります」
「なに?」
「はるかさんはバイクの免許を持っていましたか」
「…えぇ。あの子はバイクが大好きだったから」
全てがつながった音が聞こえた。
明実さんとはるかさんは、店には来ていたが姿が見えなかったこと。
購入者リストの後藤さんの名前。
明実さんの旧姓が草間。
はるかさんはバイクが好きなこと。
「…全容が分かりました」
「え?」
「はるかの行方も!?」
「うん。一度僕の考えを話してもいいですか?」
しかし、もう一人登場人物が必要だ。
「この購入者リストの『後藤』さんに連絡をします」
「え?」
明実さん以外の3人が不思議そうな表情でこちらを見つめている。
「明実さん、この人が今回の件の全てを握っていますよね?」
「…」
明実さんは一言も発しない。ただ静かに、落ち着いた様子を崩さずに、僕の顔を見ている。
僕は購入者リストに載っている後藤さんの電話番号に電話をする。
発信音が鳴る。
−−−−−−よぉ、お人好しさん。
電話からではない。すぐ近くから、奴の声が聞こえる。
「やっぱり、お前か。草間」
「全部分かったみたいだな」
「あぁ。今すぐお前に僕の考えを聞かせてやりたくてな」
先程まで明るかった店内が、休憩スペースを除いて、全てが闇に溶けている。
そして、父さん、友樹、唯の姿は消え、この場には、僕、明実さん、そして、草間の3人しかいない。
明実さんは草間の姿を見ても、何の反応も示していない。恐らく、その姿が答え合わせのようなものだろう。
「まずは何から話してくれるんだ?」
「そうだな。まずは草間と明実さんの関係性についてだが、あんた達は兄妹で間違いないな」
明実さんは草間に視線を配る。草間は無言で頷き、明実さんが口を開く。
「そう。私たちは兄妹」
「もう証拠はつかんでいるんだよな?」
「もちろん。最初は憶測だった。でも、調べていく中で、自分の憶測を立証できることができた」




