⑤
僕はずっと気になっていたことがある。
「父さん、ここ数日のバイク購入者のリストってある?」
バイクを購入する際に契約書を書くが、その契約書を基に、購入者や購入日、連絡先などの情報をリスト化して保存している。
父さんはパソコンを起動し、リストのデータを開く。
「リストの上が最新だ」
僕はリストを順に見ていく。そのリストの中に
−−−−後藤 司
リトルコーポレーションの夢で出てきた後藤さんの名前が出てきた。
購入日は2週間ほど前。納車が昨日の日付になっている。
「この後藤さんは昨日が納車。ということは、父さんはこの人に会っているよね?」
「あぁ」
「恐らくだけど、身長が僕よりも少し高くて、40代ぐらいの人じゃないかな。」
「いや、そうではなかったぞ。佐藤よりも身長は低かったし、見た目はもっと若かった」
…僕が気になっていたこと。
全ての夢に共通している登場人物。それは「僕」と「草間」だ。
しかし、この夢の中に草間は全く現れていない。
だが、必ずどこかに痕跡はあるはずだ。
草間が毎回姿を現す場所。それは、この「港の倉庫のような建物」が共通している。
「僕は後藤さんに会ったことがある。でも、父さんが見た後藤さんと僕が会ったことのある後藤さんは違う」
「そうなのか?」
「唯、はるかさんの苗字って何かな?」
「望月だけど」
僕はもう一つの違和感を解明するために、明実さんに問い掛ける。
「明実さん。明実さんの家族構成を教えてください」
「なぜ?」
「そこにこの事件の手掛かりがあるはずです。」
「…父と母、兄が1人」
「4人家族ですね」
−−−−もう少し、もう少しだ。
「明実さん。望月という苗字はご結婚されてからの苗字ですよね」
「…そうだけど」
「では…旧姓を教えてもらえませんか」
…沈黙が続く。明実さんは僕の顔を真剣な表情で見続ける。
空気が変わった。父さん達は静かにこの状況を見守っている。
「僕は、明実さんの旧姓を知っています」
明実さんの旧姓−−−−−
−−−−「草間」ですね。




