㉕
草間はぐったりとしている。これで本田さんには手出しできない。
「本田さん、やりましたね。これで最悪の状況から免れました」
「フラグとかではないよな」
本田さんは変わらずの調子で応える。僕はこの状況に安堵した。初めて守ることができた。
雫さんと康太くんの無念を晴らすことができたのだ。
「恐らく、この後この夢は終わりになります。本田さんとはここでお別れになります」
「そうか…何か2人でこうやって1つのことをやり遂げることができて楽しかった」
本田さんは満面の笑みを浮かべ、言葉を続ける。
「佐藤。ありがとうな。お前がこんなに立派な男になってくれて、本当に嬉しいよ」
僕に近付き頭を撫でてくる。
「ずっと、夢でも会えたなら、こうして一緒にいたかった。色んな話をしたかった。最後にそれが叶った。もしかしたら神様っているのかもな」
…本田さんの言葉に違和感を覚える。
「本田さん?」
−−−ずっと見守っているぞ。
−−−本田さんはその場に崩れ落ちる。
「え…どうして…何で!!」
本田さんを抱き抱える。既に息はしていない。胸とお腹にナイフで刺された跡があり、そこから血液が流れ出ている。
僕は…混乱した。
ついさっきまで生きていた。元気だった。後藤さんと草間は全く関与していないはず。なぜ、なぜ、なぜ…
気配がする。振り返ると、無傷の草間が立っていた。
「時間を見てみろ」
僕は携帯で確認する。
午後19時。
この時刻は…前の夢で康太くんが草間に殺害された時刻。
「不思議だと思わないか」
「…康太くんの殺害時刻と同じ」
「俺はこの男に触れていない。何も言っていない。でも、死んだ。俺が言いたいことが分かるか?」
「…時刻が共通している」
「そうだ」
草間は続ける。




