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「…俺と本田がどれだけの時間を共に過ごし、支え合ってきたか知っているか?」
「…」
「あいつがいるから俺はここまで頑張れた。あいつは俺の人生に欠かせない大事な仲間だ。それをお前は。俺があいつを殺害しようと考えているだと…」
−−−ふざけたこと言うな!!!
怒声が響く。建物にいる全員がこちらを見る。
「お前は絶対に許さない。妄想を語っていたとしても、許さないからな。」
「では、約束してください」
僕も後藤さんの肩を力いっぱい掴む。
雫さんと康太くんの最後の笑顔。本田さんの優しさ。守れなかったもの、守りたいものへの執念を込めて、睨みつける。
「本田さんに何かが起きたら、草間もあなたも、僕が殺します。なので、本田さんには今後近付かないでください」
「まだ言うか…」
「人を信用しそうになって痛い目に遭いましたからね。人間不信ですよ」
段々と人が集まってくる。
−−−お前ら何やってるんだ!
本田さんの声が響く。全力で走ってくる本田さんの姿が視界に映る。
その間も僕と後藤さんは互いを離さない。ここで離してしまうと、自分の思いが負けてしまう気がする。
「何掴み合ってんだ!いい加減にしろ!」
本田さんによって僕たちは互いの肩から手を離される。
「後藤!佐藤!何でこんなことし合ってるんだ!」
僕たちは黙り込み、睨み合う。
「本田。佐藤と離れろ」
「はぁ!?」
「こいつは異常者だ。俺がお前のことを殺そうとしていると疑ってきた」
「え?…は?」
「俺はそれが許せなくてな。こんな奴に俺たちの何が分かるのか。逆にこいつを殺してやろうかと思ったよ」
「後藤!言い過ぎだ!」
「本田さん、僕も後藤さんと同じですよ。本田さんの身に何かあったら僕があなたを殺すって言いました」
「お前ら小学生の喧嘩じゃないんだから、殺す殺すっていうんじゃない!」
何も言わず、後藤さんはその場を去っていった。
「佐藤…何があったんだよ…何でこんなことになっちゃったんだよ…」
本田さんは頭を掻きむしっている。
「すみませんでした…でも、僕には確信があるんです」
「…とりあえずオフィスに戻るぞ。そこで話は聞くからな」
僕たちは、建物を後にし、オフィスに向かった。その間、会話は一つもなく、気まずい空気だけが流れた。




