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本田さんと共にビルを出る。歩いてすぐのところに例の建物はある。
正面に立って見てみると、両脇に建っているビルが金剛力士立像のように見える。この建物は会社にとって大切なものなのではないかと感じる。
「元々ここがオフィス兼倉庫として使われていたんだよ。俺が最初勤め始めた時も、ここに出勤していたんだ。会社が大きくなるに連れ、社員も増えていくし、資材も増えていく。だから、両脇にそれぞれの部門ごとにビルを建てた。そして、ここは倉庫の役割を担うようになったんだよ」
この会社の歴史はここから始まったのか。さっき感じた感覚は間違っていなかった。
改めて建物を見る。先ほどとは違い畏敬の念を抱く。
「じゃあ中に入ろうか」
本田さんに促され、僕たちは建物の中に入った。
建物の中には建築に関する資材が綺麗に整頓されていた。外観とは違い、中は新しさを感じた。恐らく、ビルの建設と併せて改装したのだろう。
「どうだ?何か感じるか?」
「いや、思ってたのと違って何も感じないですね。予想よりも綺麗だなって思うぐらいです」
「拍子抜けした感じだな。散策してみると何か感じるかもしれないから行ってきていいぞ」
「本田さんはどうしますか?」
「俺は入口近くで待ってるよ。俺と一緒より1人のほうが気付きは多いかもしれないからな。もし必要だったら言ってくれ」
本田さんは入口近くにある管理室に入り、警備の方と談話を始めた。
たしかに、1人で考えながら行動したほうが、今回はいいかもしれない。
僕は建物の中の散策を初めた。




