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まだまだ慣れないこともあるが、少しずつ仕事を覚え始めた。また、今取り組んでいるプロジェクトについても分かったことがある。
建設場所の状況や地域住民の方の思いなどから、実現が難しいと言われてきた。しかし、本田さんをはじめとするプロジェクトのメンバーが市や各企業への交渉、地域住民への説明会など建設への思いを続けてきた中で了承を得られた。このプロジェクトが成功することで、僕たちの会社をはじめ、多くの人にとってプラスとなる。
本田さんだけでなく、プロジェクトチームのメンバーの熱量は凄まじかった。
その熱量に焚き付けられ、僕もできることで貢献できるように、必死で仕事を覚えようと努めていた。
しかし、その結果として、中々あの建物の中に行くことができていない。
本田さん曰く、あの建物は発注した資材や受注される製品を保管する倉庫となっているらしい。
オフィスの窓から下を覗く。少し古ぼけた屋根が視界に広がる。周囲の風景から比較しても、異質さが目立つ。
「どうした佐藤?」
窓の外を眺める僕に本田さんが声を掛ける。
「いや、あの建物の中に行ってみたくて」
「そういえば、元々はあの建物に用事があったんだよな。昼休憩の時に一度行ってみるか?」
「いいんですか?」
「いいぞ。中がどうなっているか分からないと思うから、俺も着いてくよ」
本田さんが同伴してくれるのは心強い。
貴重な休憩時間を無駄にさせてしまうのは申し訳ないが、厚意に甘えよう。
気持ちを切り替え、仕事の続きに取り掛かる。あっという間に休憩時間になった。




