⑤
その後もお互いのことを語り合い、時は進んでいく。
2人で話している時、本田さんの携帯に着信が入る。
「もしもし。おぉもう着いたか。待ってるから早く来いよ」
「どなたですか?」
「俺の同期の後藤って奴だ。俺よりも仕事ができる凄いやつだよ」
本田さん以上にできる人とは、一体誰なのか。僕は一気に興味が湧いた。
「すまない。待たせてしまったな」
僕たちの前に現れたのは、長身で爽やかな男性だ。本田さんより少し若く見える。この人もできるオーラを放っている。
「大変な中呼んで悪いな」
「ん?佐藤も一緒にいるのか?凄く珍しいこともあるんだな」
どうやら後藤さんは僕のことを認識しているみたいだ。
「実は佐藤だけど佐藤ではないんだ」
「何を言っているんだ?」
「佐藤、自己紹介しろよ」
「初めまして、佐藤圭太と申します」
「…はぁ」
訳が分からないと言わんばかりに、後藤さんは僕と本田さんを交互に見る。
僕は後藤さんに現状を説明した。
「…なるほど。社長が佐藤がおかしくなったって言っていた意味がようやく分かった」
どうやらあの上役の人たちの中に社長もいたみたいだ。
「訳わからないことって本当にあるんだな。ちなみにだが、後藤は専務でよく社長と交流しているんだ。俺たち同期の期待の星だよ」
「何言ってるんだ。お前こそ次期社長ってみんなが話してるぞ」
本田さんも後藤さんも、会話から相手へのリスペクトを感じる。同期だからこそ、切磋琢磨して上り詰めてきたんだろうなと感じる。
「とても仲がいいんですね」
「そりゃあな。後藤とは新入社員の時から競い合ってきたけど、プライベートでもよく遊んだりするぐらいだからな」
「この間も家族同士で旅行に行ったしな」
どれだけ歳を重ねても、立場が変わっても、お互いを大切に思う気持ちが変わらないことはすごいことだと思う。




