②
「じゃあ聞くぞ。俺たちが勤めるこの会社の名前は」
「…分かりません」
「なるほど。次は、俺たちの部署はなんだ?」
「企画部?」
「どうしてそう思う?」
「何かのプレゼンをしていたので」
「うん。じゃあ、今は何の企画で打ち合わせをしていた?」
「…何とかプロジェクト」
僕の返答を聞き、本田さんは笑顔を浮かべた。
「お前は佐藤だけど佐藤じゃないな。いや、なんというか、今の佐藤が本当の佐藤なんだな」
「どうしてそう思うんですか?」
「俺の知ってる佐藤は、何ていうか隙がないんだ。ミスもしない、聞かれたことには正確に答える。でも、必要最低限のことしか会話しない。何かロボットみたいな奴なんだよ」
仕事はできるけど人としては関わり辛い感じだったのかな。
「佐藤の人となりはみんな知ってるから、今ごろみんなで噂してるんじゃないか?」
本田さんは僕の方をポンと叩く。何か労いの意味が含まれているように感じた。
「ちなみにですが、会社や部署、取り組んでいるプロジェクトについて教えてもらえますか」
「そうだな。それを知らないとこの後の立ち振る舞いが分からないからな」
この会社の名前は「リトルコーポレーション」という。「小さなことでもコツコツと」という理念のもと創業された。元々は建築の請け負いをしていたが、少しずつ拡大していき、現在はゼネコン会社へと成長した。僕たちは設計部門に所属しており、主に様々な建築物の企画や施工計画などを担当している部で仕事をしている。
今取り組んでいるのは「CCプロジェクト」という、商業施設の建設である。「彩り輝く」をテーマにプロジェクトが立案された。(CCは彩りと輝くの英単語の頭文字らしい)
簡単に言うと、多種多様な人たちが利用できたり、楽しめたりできる商業施設になるよう計画を進めているとのことだ。




