①
「どうしたんだ佐藤。突然あんなこと言うからビックリしたぞ」
会議が終わり、上役の人たちが部屋を出た後、本田さんが心配そうに声を掛けてくれた。
「すみません。本当に状況が飲み込めなくて…」
「状況が飲み込めないって、少し前まで今日のプレゼンのこととか色々話していただろう」
「そうだったんですね…」
僕の放つ雰囲気を読み取ったのか、本田さんが他の社員に部屋を出るように指示を出す。社員が全員出たのを確認すると、本田さんは僕の隣に座る。
「いつもの佐藤じゃないな。何があった?」
こんなやらかしをしたら、激しく怒られてもおかしくない。それでも、本田さんは僕の様子の違和感を感じ、寄り添ってくれている。本当にできる人なんだなと感じた。
「実は…この世界は僕の夢なんです」
「…は?夢?」
予想の斜め上をいく回答に、本田さんは不思議そうな顔で僕を見る。
僕はなぜここに来たのか、今までの経緯を本田さんに話した。
「…つまり、行方不明の子の手掛かりを探すために、この会社に来た。そしたら、意識が無くなり、気付いたらここにいたと」
「簡単に言うとそういうことです」
「うーん…俺は佐藤と共に仕事をして10年近く経つから、急にそんなこと言われても納得できないな…」
本田さんは考え込むように腕を組む。確かに、ずっと共に過ごしてきた人間がこの世界は作りものですって言い出したら、信じることなんてできない。僕も本田さんの立場なら同じような反応をするだろう。
「中々信じられないですよね」
「まぁ…それはな。じゃあ、いくつか質問していいか?」
「質問ですか?」
「俺が質問することに対して、佐藤の反応を見る。それで判断してやる。俺は実際に見たこと聞いたことしか信じないタイプだから」
恐らくだが、僕は本田さんと気が合うだろうなと感じた。




