⑧
「僕たちのバイク屋で行方不明事件が起きるんだ。その行方不明になった人は唯の友達のはるかという女の子だ。あ、夢の中の唯の友達ね」
「分かってるよ」
行方不明事件の経緯、バイク屋にそっくりな建物が2つあること。そして…
「それとは別で、ここ数日、5歳ぐらいの男の子がある男に殺害される夢を見ていたんだ。その男の子を生かすために、その子のお母さんと一緒に何度も方法を試すんだけどダメで…」
「恐いし、不思議だな」
「最初の建物に着いた時、舞台がその夢に変わったんだ」
「…どういうこと?」
「ようするに、別の夢の世界とつながったって言えばいいのかな?」
「複雑すぎてよく分からないけど、お兄ちゃんがこんなファンタジーな話を熱く語るって初めて見たかも」
「そうだよね。超リアリストだから私も聞いた時ビックリしたんだよ」
圭介と父さんは会話には参加せず、2人で食事を楽しんでいる。
「しかも、その親子の名前まで覚えてるんだよ」
「さっき行方不明になった子の名前まで覚えてましたもんね」
「で、その2人の名前は」
−−−雫さんと康太くん
「あと、犯人の名前は」
−−−草間
「夢なのによくそんなリアルな設定になったね」
「意外と兄ちゃん作家になれるかもしれないね」
楓と友樹、唯が僕をからかうように笑う。
本当なら僕もふざけて笑うのだが…愛想笑いしかできなかった。
−−−目の前の父さんが一切笑っていなかったからだ。




