⑦
午後6時30分。コンビニで鮭おにぎりを3つ買い、ホテル前の公園のベンチに腰掛け、僕たちはおにぎりを食べた。辺りは薄暗くなっていた。
「何だかんだでこうやってご飯を一緒に食べるの初めてですね」
「そうですね。いつも僕があっちこっち行ってしまうので」
「みんなでご飯食べるの楽しいね!」
康太くんが口いっぱいにおにぎりを頬張りながら楽しそうにしている。今までの中で一番時の流れがゆっくりしている。
「なんか、こういう時間っていいですね…」
「私、ずっとこうして3人で過ごしたかったかのかなって思う。康太を守ることしか考えていなかったけど、最後って思ったら、何の変哲もない、ただみんなでいれることが本当に幸せだったんだなって思う」
「雫さん…」
「本音を言うと、このまま時が止まってほしいなって。夢であってほしいなってね」
雫さんは本当に幸せそうな表情をしている。
「佐藤さん。1つだけ我儘言っていいかな?」
「なんでしょう?」
「時間も残りわずかでしょ?最後に、3人で鬼ごっこしませんか?」
想像していなかったお願いに、僕は思わず吹き出す。
「鬼ごっこ大好き!じゃあママが鬼ね!」
「ママこう見えて走るの得意なんだからね。康太なんてあっという間に捕まえちゃうぞ」
「僕だって負けないよ!じゃあ10数えてね!圭太くん逃げよう!」
僕と康太くんは走り出す。雫さんが大きな声で数を数える。
数え終えた雫さんが僕たちを追いかけはじめる。康太くんの笑い声が辺りに響く。僕は日頃の運動不足のせいであっという間に捕まる。代わり鬼だから次の鬼は僕だ。
2人のことは中々捕まえられない。肩から息をしている僕を2人は笑って挑発する。




