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⑤
午後5時。僕たちはチェックインを済ませ草間の部屋で飲みの続きを行った。
ダラダラと時間が経過し、気付けば午後6時。雫さんと康太くんが外食に行く時刻だ。しかし、今回は念の為にホテルで待機するように話していた。
「いやー佐藤さんは世界一いい人だ!こんな人と出会えて本当に幸せだ!」
草間はそう叫びながら、ベッドの上で子供のように跳ねている。すっかり記憶が飛んでいる様子だ。完全に目が据わっている。
「佐藤さん!佐藤さん!佐藤さん!」
「何ですかずっと」
「佐藤さん!佐藤さん!佐藤さん!」
…何だ、この違和感。
「佐藤さん!佐藤さん!あんた世界一の」
−−−お人好しだよ
顔面に激痛が走る。不意を突かれて殴られた。僕は思わずその場に倒れ込んだ。
−−−草間の狂気は正気だった。
僕が倒れた隙に草間は部屋を飛び出す。
不味い。このままでは−−−
部屋を出る。奴の姿は見えない。僕は急いで雫さんと康太くんの部屋に向かった。




