④
飲んで語らって気付けば2時間が経過していた。
草間は頬を赤らめ上機嫌だ。
「佐藤さんよ〜俺はもっと早くあんたと出会いたかったよ~」
「僕もですよ!てか、草間さんとは昔から知り合いだったように感じます」
「俺も!こんなに話が合う奴は今までいなかったよ」
上機嫌だった草間の表情に寂しさが灯る。
「俺、友達って一人もいなくてさ。いつも妹としか関わってこなかった。両親も俺たちのことは放置でそれぞれ男と女つくって家になんかいなかった」
草間にも様々な過去があるのだろう。彼の人格が作られる中で、本当は経験しなくてもいいものも経験してきたのだろうと推察した。
「だからさ、佐藤さんとこうして話していると。もっと早く人と真剣に向き合えばよかったなって感じるよ」
「…草間さん。今からでも大丈夫ですよ。少なくとも、僕は草間さんの友達で、これからも支えます」
僕の言葉を聞いた草間の頬に涙が流れる。
「佐藤さん…本当にありがとう…人から大事に思ってもらえると、こんなに温かいんだな」
−−−−気をしっかりもたなくては。
草間の境遇、孤独感、様々な感情に同情や共感を抱いてしまいそうになる。本当は悪い奴ではないのではないか。
気持ちが揺れ動く。しかし、雫さんと康太くんの笑顔。傷だらけの康太くん。涙を流す雫さん。そして、それを狂気な表情で見つめる草間。過去の夢の出来事を思い出し、踏みとどまった。
「草間さんもホテルに泊まるんですよね?折角だから、続きはホテルでやりませんか?」
「おぉ!じゃあ酒とつまみを買ってホテルに行こうか!」
僕たちは居酒屋を後にし、近くのコンビニで必要なものを買い、ホテルに向かった。
僕の隣を歩く草間は、いつもの草間ではなかった。




