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「…ということで、明実さんはもしかしたらここではない建物に行っていた可能性があります。一度僕がそれぞれの建物に行ってきますので、明実さんは店長や警察の方と、はるかさんの行方を探ってみてくださいね」
「…ありがとうございます」
明実さんは上体を起こせないほど消沈としている。今は何かを思考することが難しいだろう。
「佐藤さん大丈夫ですか?俺も着いていきますか?」
「いや、むしろ残ってもらったほうが助かる。店長は事情聴取で大変だろうし、唯も明実さんも不安でいっぱいだ。悪いが、友樹がみんなを支えてくれ。そして、何か分かったら連絡してくれ」
「…俺、頑張ります!佐藤さん気を付けて行ってらっしゃい!」
友樹にこの場を託し、僕は最初の建物に向かう。
それは、夢の舞台に似ているところだ。
ここからバイクで2時間近くかかる。ちょっとした小旅行だが、僕は少しでも早く到着したいと焦っていた。
あの夢の何かが分かるのではないか。康太くんと雫さん。そして、草間。
店長たちに夢の相談はできなかったが、自分で夢の真相に迫ることができる。変な確信を胸に、僕はバイクを走らせた。




