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「そうだけど、それがどうした?」
「可能性は低いのですが、もしかしたらその2つの建物とここを勘違いしていることはありませんか?」
「いや…でも、唯とはるかちゃんは同じ高校で、車で10分で来れるところはここしかないよ。他の2つはここから結構離れているし」
「うーん…でも、可能性としてはあり得ますよね」
「まぁ0ではないわな。でも、この店もだけど、造られて40年は経ってるから、流石に外観も中の構造も変わってるとは思うな」
「そうですよね。ちなみにですが、他の2つはどのような施設なんですか?」
店長が語りだす。
1つは、市の外れにある市営団地の中に建設されている。元々は少し栄えていた町で、その建物は宿泊施設として使われていたらしい。しかし、とある事件が影響して、その町は過疎化し、ニュータウン化が進んだようだ。
もう1つは、市の中心街に目立つようにある。大手建築関係の企業の象徴兼、倉庫として資材置き場として活用されている。さらに、その倉庫の両脇には本社のビルが悠々と聳え立っている。有名らしいが僕は見たことがない。
(…宿泊施設…とある事件)
僕は一抹の不安を感じた。僕が繰り返して見ている夢の舞台と似ている。
「それぞれの場所を教えてもらってもいいですか?」
店長から聞いた住所を携帯の地図アプリに打ち込む。市街地の方はあまりピンとこないが、郊外の少し寂れた様子を感じる建物を見ていると、鼓動が強くなるのを感じる。




