第4話: 骨の迷路と裏切りの火花
霧が晴れると、目の前に広がるのは白亜の岩と化石が突き刺さった崖。佐藤太郎、生存4日目。空は鉛色で、雷鳴が遠くで唸る。足元は骨の破片が散乱し、カリカリと音を立てる。少女の槍が俺の喉元に光る。彼女はリナ、転生者だと名乗った。髪は泥で汚れ、目には警戒心。同じ境遇なのに、敵意むき出しだ。
「動くな、転生者。何を企んでる?」 リナの声は低く、鋭い。
「企む? 生き延びようとしてるだけだ!」 俺は肉の入った皮袋を握りしめ、応じる。
彼女は槍を下げるが、目は離さない。「この谷、資源は少ない。仲間は要らん。」
「なら、情報交換だけでも。俺、青い光の力持ってる。お前は?」
リナは一瞬黙り、槍の柄を握り直す。「…炎を操る。見せる必要はない。」
雷が鳴り、雨粒が落ちる。骨の迷路のような崖の隙間を進む。リナが先導。彼女の知識は本物だ。化石の間に隠れた洞窟、雨を凌げる。入ると、壁に恐竜の骨が埋まってる。スピノサウルスの背帆? 異様な光景だ。湿った空気が肌にまとわりつく。リナが焚き火を起こす。彼女の手から赤い火花が飛び、枯れ枝に燃え移る。
「お前の力、便利だな。」 俺は肉を焼きながら言う。
「余計なこと喋るな。食ったら出ていくぞ。」 リナは目を細める。
肉を分け合う。味は硬いが、腹は満たされる。外は土砂降り。雷光で、崖の影が揺れる。突然、地面が揺れた。岩が崩れ、洞窟の入口が塞がる。リナが炎を放ち、岩を溶かそうとするが、無理。俺の青い光で岩を浮かせ、隙間を作る。協力しないと死ぬ。
「…手を組むか? 一時だけだ。」 リナが渋々言う。
「いいぜ。生き残るのが先だ。」
隙間を抜けると、崖の奥に巨大な骨の迷路。トリケラトプスの頭蓋骨やラプトルの爪がゴロゴロ。雨で滑る足場。遠くで唸る声。パラサウロロフス? いや、肉食だ。デイノニクスの群れが近づく。リナの炎が道を照らし、俺の光で骨を投げつける。奴らを追い払うが、リナが突然俺を突き飛ばす。
「お前の肉、囮にさせてもらう!」 彼女は皮袋を奪い、走る。
裏切られた。雨の中、骨の迷路を逃げる。デイノニクスの息遣いが近い。光の力で跳躍、崖の縁へ。リナは消えた。雷鳴が響く中、俺は誓う。この世界、信じられるのは自分だけだ。