08 Fortress Resonance: The Quad-Pillar System of Resurgis City
高所に設置された魔法モニターには人々の姿が映し出され、都市防衛システムは静かに稼働し、常に潜在的な脅威に警戒していた。
遠くでは兵士たちが魔導バイクに乗って巡回し、車体は地表からわずかに浮かびながら静かに滑走していた。
上空では数機の光魔法ドローンがゆるやかに飛び交い、点滅するライトで歩行者をスキャンし、安全を確認していた。
「目の前にあるのが衆議院で、その中に大統領府があります。」アリソンは遠くの荘厳な建物を指差した。そこは彼らの目的地であり、レサージス・シティの司令センターでもあった。
真一は深呼吸し、気持ちを切り替えてアリソンの後に続く。レサージス・シティ最高権力を象徴する要塞建物が、いよいよ目の前に迫っていた。
道中、アリソンは要塞の社会構造について語り始める。
「レサージス・シティが廃墟の上に再建され、人類最後の防衛線の一つとなることができたのは、効率的で互いにバランスの取れた社会システムを築き上げたからです」と、どこか誇らしげに語った。
「この街の中核は、議会、軍隊、傭兵組織、そして魔法技術研究院という四つの主要組織で構成されています。それぞれが独立して活動しつつも、人類に残された文明を守り、魔王軍と戦うという共通の目的のもとで結束しています。」
議会棟のレセプションホールに入ると、広々としたホールには数々の歴史的展示物が並び、片側のライトスクリーンにはレサージス・シティの復興の様子が映し出されていた。映像の中では、廃墟に青い魔法の光が瞬き、人々が物資を運び、防御施設を築く姿が映っていた。今や、この街は見違えるほど蘇っている。
アリソンは立体投影装置の前で足を止め、指先で操作すると、ホログラムの都市模型がゆっくりと浮かび上がる。彼女が手を振ると、各組織の詳細な構造が順にスクリーンへと映し出された。
「議会は要塞の中枢として、全体の指揮・調整を担い、政策の立案、資源の配分、社会の安定と秩序の維持を行います。蓮華城の評議会とは異なり、議員は各分野のエリートで構成され、大統領直属の指揮下に置かれています。各議員はそれぞれの専門分野において独立した意思決定権を持ち、緊急時には長引く議論を省き、必要な決定を即時に実行することが可能です。大統領の承認さえ得られれば、危機対応能力を最大限に引き上げることができるのです。」
アリソンは真一たちの反応を見て、微笑みながら説明を続けた。
「軍隊は要塞の主力部隊であり、外部防衛および戦闘任務を担当します。都市防衛を担い、日常的な巡回や周辺警戒を行うほか、定期的に遠征軍を派遣し、外部の脅威を排除して要塞の安全を確保します。軍隊は総司令官の指揮のもと、大統領から直接命令を受け、軍事行動を遂行します。作戦任務の内容に応じて、軍隊は都市防衛軍、遠征軍、諜報機関など複数の部門に分かれています。都市防衛軍は要塞の防衛を重視し、遠征軍は荒野の奥地へと進軍して魔王軍や魔物と戦い、強襲や掃討作戦を実行します。諜報機関は敵の動向を探るために情報網を構築し、戦時には傭兵組織や魔法技術研究院と緊密に連携。それぞれの強みを活かし、魔王軍の侵攻を食い止めています。」
映像が切り替わると、タクティカルアーマーを身にまとった兵士たちが魔物と激しい戦闘を繰り広げていた。彼らの手に握られた魔法兵器が冷たく光を放ち、炎と魔法が交錯する戦場は、凄惨を極めていた。
「傭兵組織は軍の指揮系統から独立した戦闘部隊であり、主に卓越した能力を持つ者や退役軍人によって構成されています。組織長の指揮のもと、各方面から寄せられる依頼任務を遂行しています。議会の監督下にありながらも行動の自由度は高く、敵地深部への潜入偵察、特殊戦闘支援、さらには軍が表立って行えない極秘作戦など、機動力を生かした非正規戦術任務に適しています。任務の内容に応じて、最も適任のメンバーを選出し、効率的な任務遂行を確保します。」
映像は再び切り替わり、遺跡の中を慎重に潜入する傭兵小隊の姿が映し出される。彼らはそれぞれの能力と高度な兵器を駆使し、魔王軍の小隊を正確に奇襲。迅速かつ確実に敵を殲滅し、鮮やかに任務を遂行した。
第25章、無事に完成しました!今回は丸々一章使って戦いの前の伏線や状況描写をじっくり描いたので、次の章からいよいよ死闘の幕開けです。次章は今までよりもボリューム多めで、バトルシーンの細かい描写だけでなく、戦後の布陣や行動方針の決定も大きな見どころ。そして、ついに主要メンバーが全員揃い、次なる大きな試練へと進んでいきます。
こうして振り返ると、この物語もそろそろ終盤に差し掛かってきて、自分でも少し感慨深いものがあります。趣味で書き始めて、気づけば一つの物語として形になり、まるで人生の一区切りを達成したような気分です。
できれば、いつかどこかの出版社さんに声をかけていただいて、小説化・コミカライズ、そしてアニメ化まで…なんて夢も抱きつつ(笑)
元々は好きな作品へのオマージュと、自分なりの「こうだったらいいのに」を形にしたくて始めたこの物語。これからも、物語の結末まで全力で書き上げますので、ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しいです!
引き続き、次章もご期待ください!