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07 Resurgis Requiem: The Techno-Magical Bastion

 アリソンは軽く微笑み、視線を戻す。

「それでは、こちらへどうぞ。大統領閣下がお待ちです。」

 彼女はきびきびとした足取りで先頭に立つ。その歩みには、軍人らしい決断力と規律が滲んでいた。

 真一たちは顔を見合わせ、無言でうなずき、彼女の後を追って転移ホールを出ると、要塞の奥へと進んでいく。

 重厚な金属の扉をくぐった瞬間、目の前に広がる光景に誰もが息を呑んだ。

 ——北米要塞、レサージス・シティ。

 戦争で荒廃した荒地に築かれたこの軍事都市は、テクノロジーと魔法が独自に融合した異様な景観を呈している。周囲の建物は天を衝くようにそびえ立ち、鋼鉄とガラスが複雑に組み合わされた城壁は、容易には崩せぬ堅牢さを誇る。その頂には青紫の光を放つ魔法回路が埋め込まれ、夜空に瞬くネオンの光彩と幻想的に響き合っていた。

 城壁には巨大な魔水晶核が嵌め込まれ、絶え間なく防御結界を展開している。高塔の上には魔力で稼働する自動砲塔が据えられ、砲口は静かに角度を変えながら、冷徹に周囲を監視していた。

 街路では、魔導線を内蔵した磁気軌道の上を浮遊車両が疾走し、時折、車体から淡い青色の魔力波動を発して飛行の安定を保っている。空中には巨大な魔水晶エンジンで稼働する小型要塞がいくつも浮かび、その表面には複雑な魔法紋様が刻まれ、機械仕掛けの砲台と駐屯する兵士の姿がぼんやりと映し出されていた。巡視艦が光幕のシールドを背に、まるで戦場の前線要塞のように時折通り過ぎていく。

 街の奥深くでは、装甲輸送列車が魔導金属で覆われた軌道を高速で走行し、各車両は魔法障壁に包まれて、重要物資や兵器の輸送を担っていた。巨大な装甲歩行兵器がゆっくりと街路を進み、その盾は魔晶石のエネルギーで輝きを放ち、いずれも高エネルギー魔導砲を搭載し、鋼鉄の巨獣さながらの威容を誇っている。

 高層ビルの合間には吊り下げられた魔法監視装置が絶えず歩行者を監視し、都市の治安を保つ一方、自動魔法防御塔は常に待機し、怪しい標的を補足すれば即座に迎撃態勢へ移行する。

 だが、このハイテクによる秩序の陰にも、終末の影は色濃く刻まれていた。レサージス・シティはかつて魔王軍によって徹底的に破壊された廃墟の上に築かれている。往時の繁栄はすでに遠い昔の幻と化し、戦争の傷跡はいまなおそこかしこに残されていた。遠方には崩れ落ちた建物群が、まるで死せる巨獣の骸のように横たわり、焦げ付いた鉄骨はねじ曲がりながら天を突き、高層ビルは瓦礫と化している。

 さらに彼方には、かつて希望と自由の象徴だった巨大な像が半ば崩壊し、折れた腕は瓦礫に埋もれ、顔はすでに戦火に焼かれて消え失せていた。ただ、崩れた台座だけが静かに佇み、戦後の荒野に永遠の哀歌を響かせている。

 都市中心部へと続く幹線道路の両側には、装甲パトロール隊と完全武装の兵士たちが至る所に配備され、凍り付くような緊張感と圧迫感が漂っている。空気にはいまだ微かな火薬の匂いが残り、都市は復興を遂げたとはいえ、廃墟の上でかろうじて命脈を保っているようで、再び戦火に呑まれるのも時間の問題のように思われた。

「……ここが北米要塞か」

 愛理は、その高度な緊張感に満ちた街を見渡しながら、ぽつりと呟いた。

 リアは不安そうに真一の袖をそっと引き、「ここの雰囲気、蓮華城とは全然違いますね……」と小さな声で言った。

「ああ」真一は静かに頷き、低い声で続けた。

「ここは普通の都市要塞じゃない。常に戦闘態勢にあり、まるで戦場そのもののような場所だ」

 サティーナは興味深げに周囲を見回し、意味ありげな微笑を浮かべた。

「ふふっ……テクノロジーと魔法の融合、実に面白いわね」

 アリソンは皆を振り返り、柔らかく微笑んだ。

「レサージス・シティは、北米最後の要塞都市であり、世界に残された五つのうちの一つです。魔王軍によって荒廃した後、再建されました。秩序の維持に努めていますが、この街は常に争いの影に包まれています」

 彼女は前へと進み、一同を広々とした大通りの先へと導いた。

 道の両側では、多くの通行人が足を止め、この遠方からの客人たちを眺めていた。好奇の眼差しを向ける者もいれば、無関心そうに通り過ぎる者もいた。彼らの多くは軍服やハイテク戦術服を身にまとい、腰にはさまざまな魔法兵器やエネルギー装置を携え、その歩みからは歴戦の戦士の風格が漂っていた。

 研究員の制服を着て、光スクリーン装置を操作しながらデータを記録する者もいれば、魔晶浮遊ロボットを操り日常業務をこなす者の姿もあった。

第25章の執筆、ついにスタートしました!実際に書き始めてみたら、死霊軍団の登場シーン、思った以上に迫力ある感じに仕上がって、自分でもちょっと満足してます(笑)


もともと『ログ・ホライズン』や『オーバーロード』を読んでた時から、あの圧倒的な場面描写が大好きで、あの没入感をどうやって文章で出すか、ずっと意識してきたんですよね。アニメ化された時も、制作の都合かもしれないけど、あの衝撃シーンがあまり描かれなかったのは正直残念で…。だからこそ、自分の作品では、思いっきり文章でその世界観を描ききろう!と今回改めて思いました。


いつか、自分の物語もアニメ化されて、あのシーンを映像で見られる日が来たらいいなぁって、そんな夢も抱きつつ。さて、この絶望の状況に、主人公たちがどう立ち向かうのか…引き続き書いていきますので、ぜひお楽しみに!

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