03 Silent Invitation to the Twilight
サティーナは真一の困惑した表情をじっと見つめ、くすっといたずらっぽく微笑む。そしてゆっくりと顔を寄せ、紅い瞳を細める。ふわりと温かな息がかかるほどの距離に迫り、その唇には、何か無言の誘いが込められているようだった。
突然の距離の近さに、真一の顔は一気に赤く染まり、全身が固まって、その場に凍りついたように動けなくなってしまった。
その光景を物陰から見ていた愛理は、信じられないものでも見たかのように目を丸くし、頬をぷくっとふくらませて小さな拳を握りしめる。
「もう我慢できない!止めに行く!」
それを見たリアは慌てて愛理の腕を引き、低い声で必死にささやいた。
「落ち着いて、愛理ちゃん!衝動的になっちゃダメ!」
すると、何かに気づいたのか、サティーナはふっと微笑みを浮かべる。
「ごめんね、真一〜。どうやら、ちょっと落ち着きのない“観客”がいるみたい」
真一はまだ動揺から抜け出せず、ただサティーナの得意げな笑みを見つめることしかできなかった。
そしてサティーナはくるりと振り返り、明るい声で言った。
「愛理ちゃん、リア、もう隠れてないで出ておいで!」
「な、なにぃ!?」
愛理はその声にびっくりして飛び出し、勢い余ってリアにぶつかりそうになる。
リアは慌てて彼女を支え、「もう、落ち着いてってば!」と小声でたしなめるが、その頬の赤みは内心の恥ずかしさを隠しきれていなかった。
サティーナは石のベンチにゆったりと腰掛け、足を組み、気だるげに微笑む。
「我が気づかないとでも思ったの?ふふ、ずーっと前からバレてたわよ」
愛理はとうとう我慢できず、隠れていた場所から飛び出し、ぷんぷんしながら叫んだ。
だったらなんでもっと早く言わないのよ!?私たちがコソコソしているの、面白がって見ていたわけ!?
「そうだよ〜」
サティーナは尻尾をふわりと揺らし、いたずらっぽくニヤリと笑った。
「どれくらい我慢できるのか、ちょっと試してみたかっただけ。思ったより粘るのね〜」
リアも顔を真っ赤にして、うつむきながら影からそっと出てきて、ぽつりと呟いた。
「ごめんなさい……私たち、ただ真一くんのことが心配で……」
ようやく我に返った真一は、目の前の3人を見渡しながら、呆れたように言った。
「君たち、いったい何しているのだよ……」
サティーナは口元を手で隠して、クスクスと笑った。
「真一、これは女の子だけのヒミツなのよ〜。だから、あんまり詮索しないで」
愛理は怒りのあまり足を踏み鳴らし、リアは恥ずかしそうに視線をそらした。
微妙な空気がその場に流れる。
夕焼けの残光が少しずつ薄れていき、テラスにはまだ張り詰めたような複雑な雰囲気が残っていた。
真一は目の前の3人の少女たちをじっと見つめた。
ひとりは怒ってふくれっ面の子猫みたいに、ひとりは恥ずかしそうにうつむき、もうひとりは余裕たっぷりにニヤニヤと笑っている。
真一は大きくため息をついた。
「サティーナ、君はいったい何を考えているのだ…?」
サティーナは優雅に肩をすくめ、腕を組み、尻尾をひらひらと揺らしながら、まるで「やっと聞いてきたわね」とでも言いたげな顔をした。
「まあ、そんなに気になるなら、特別に教えてあげるわよ」
彼女はいつものいたずらっぽい笑顔を浮かべながらも、どこか少しだけ真剣な眼差しを向けた。
「今回のデートはね、実は真一のことを観察するためだったの」
「僕を…観察?」
真一は眉をひそめ、困惑した様子で尋ねた。
「どういうことだよ…?」
サティーナはふっと微笑み、テラスの端までゆっくりと歩き、空に残る最後の夕焼けの名残をじっと見つめた。
声を少し落とし、どこか寂しげな感情を込めて語る。
「我は魔王軍四天王のひとり。偉い立場にいると、そう簡単に他人なんて信用できないのよ。でもね…」
彼女は振り返り、真一の目をじっと見つめ、柔らかい声で続けた。
「汝を見ていると、もしかしたら今回の選択は…間違ってなかったのかもって、そう思えるの」
サティーナのまっすぐな瞳に、真一は一瞬ドキッとして、気まずそうに頭を掻いた。
「でもさ、そんなに試さなくてもよかったのじゃない?」
サティーナはクスッと笑い、意味深な笑みを浮かべたかと思うと、すぐにニヤリといたずらっぽい顔になる。
「ま、でも本当の理由はね……だって、面白そうだったのだもん!」
「はあっ!? 面白がっていたの!?」
感情を抑えきれない愛理が飛び上がり、サティーナを指差して怒鳴る。
「いや〜、そんなに怒らないでよ〜」
サティーナはのんびりと笑いながら、尻尾をふわふわと揺らし、気だるげに言った。
「だって、みんなの反応、最高に面白いのだもん♪」
「サティーナ姉っ!」
愛理は頬をぷくっと膨らませ、怒りながら足をドンと踏み鳴らす。
「サティーナ、本当にやりすぎよ!」
リアでさえ、小さな声で不満を漏らした。
「サティーナ、さすがにこれはちょっと良くないのじゃない…?」
だが、サティーナはまるで気にする様子もなく、真一の肩をポンと叩き、にこにこしながら言った。
「まあまあ、真一、なかなか良かったわよ〜。ちょっと期待しているからね」
真一はため息をつき、「それって褒めているのか、それともからかっているのか?」と呟いた。
「んー……両方ね」
サティーナは満足げに微笑み、軽くウィンクをした。
夕日の残照が彼女の顔を照らし、いたずらっぽい笑みを浮かべたその美しい顔に、誰も咎める気にはなれなかった。
今日はなんとなく藍井エイルの「流星」を聴きたくなって、聴きながら第2部「魔界統一戦編」のPK戦、特に武器装備の部分を細かく詰めてました。どうせなら、それぞれの武器の型番もしっかり設定しようかなって。自分は正直この辺まったくの素人なんですけど、それでもキャラが戦闘中に武器の型番とか口にするだけでテンション上がるタイプなんで(笑) きっとミリタリー好きならもっと熱くなるだろうなって思ってます。
それと、今回細かく設定してみたら、各隊員の兵科や役割がどんどん専門的になってきて、前に「全員主人公の分身みたいな感じにしよう」って思ってた構想はさすがに無理そう(笑)
やっぱり兵科ごとにキャラの個性やデザインも考え直さないとですね。
というわけで、引き続き鋭意制作中!お楽しみに!