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21 Feel the Beat, Break the Limit!

 ――そして翌朝、訓練場にて。

 訓練施設はレサージス・シティ南部の広大な敷地にあり、周囲にはさまざまな戦闘シミュレーション用の設備が並んでいた。

 真一たちは訓練場の中央に集まり、軍服姿の教官と向かい合っていた。

「君たちの任務は、この模擬演習で複雑な地形に慣れ、予期せぬ事態に迅速に対応する術を身につけることだ。」

 教官は厳しい口調でそう告げると、すぐに手を振る。

 その瞬間、地面から複数のホログラム投影装置がせり上がり、険しい崖や曲がりくねった山道、狭い峡谷が映し出された。

 周囲には鬱蒼とした熱帯雨林が広がり、高くそびえる木々が立ち並び、蔦が絡みつき、湿った空気が漂っている。遠くでは雷光が走り、鈍い雷鳴が響いていた。

「訓練中には、魔物や魔王軍の奇襲もランダムで発生する。臨機応変に対応する術を学べ」

 教官がさらに告げる。

「ふふ、これはなかなか面白そうね」

 サティーナの口元が上がり、興味深げな笑みを浮かべる。

「よーし、真!行こうよ!」

 愛理は興奮した様子で銀色の二丁拳銃を抜き、今にも飛び出しそうな勢いだ。

 こうして、訓練が始まった――。

 4人は前夜に話し合った戦術隊形に従い、秩序正しく警戒しながら着実に前進していく。

 サティーナが先鋒を務め、薄暗いシミュレーション環境の中、真紅の瞳が鋭く光る。前方の地形の微細な変化を見逃さず、一歩一歩、着実かつ俊敏に進んでいった。

 真一と愛理は中列に並び、左手に盾、右手に槍を構え、常に鋭い視線で襲撃の可能性に警戒を怠らない。進軍が地形によって分断されないよう、周囲をくまなく見渡していた。

「距離を保ち、隊列から離れるな」

 真一が低い声で注意を促す。

 愛理も柔軟に周囲を見回す。『霊魂連結』で模擬敵の意識を読み取ることはできなかったが、それでも環境の変化に神経を研ぎ澄まし、いつでも不測の事態に対応できる態勢を整えていた。

「左側に伏兵がいるかも」と告げると、軽く体を横に向け、両手の銃を構えた。

 殿のリアは仲間たちの様子に細心の注意を払いながら、指先で魔法の杖を軽く回し、いつでもエレメント魔法や回復魔法を発動できるよう備えていた。青い瞳にはわずかな緊張が宿るものの、そこには揺るぎない冷静さと決意が浮かんでいる。

 突如、魔物が現れる。

 サティーナは瞬時に魔剣を召喚し、稲妻のような速さで敵陣へ突撃。黒紫の魔力が剣身を包み、振るうたびに鋭い風切り音を響かせ、幻影の魔物たちを容易く切り裂いていく。剣光が闇を断ち、一瞬、戦場にまばゆい閃光を放った。

 同時に、真一・愛理・リアも背中合わせに陣を組み、戦況に応じて素早く戦術を切り替える。

 四方八方から迫る影のような魔物たち。鋭い爪が冷たい光を放ちながら、高速で襲いかかってくる。

 真一は正確に攻撃をかわし、素早く後退。槍を一閃させると、銀色の閃光が走り、槍先が魔物の急所を突き、瞬く間にデータの粒子となって霧散した。

 愛理の双銃も冷光を放ちながら、引き金を引くたびに銀の弾丸が魔物の核を正確に撃ち抜く。『霊魂連結』の効果は発動しないものの、鋭敏な戦闘直感で敵の隙を見極め、絶好の瞬間に致命の一撃を放った。

 リアは杖をしっかりと握り、集中と決意をその瞳に宿す。戦場の流れに合わせ、巧みに杖を振るい、風と水のエレメントを自在に召喚。軽やかな風刃が敵を鋭く切り裂き、疾風のごとく水流がほとばしる。その一方で、彼女の注意は常に仲間たちに向けられていた。誰かが危機に陥れば、即座に治癒魔法を発動。温かな光が瞬く間に戦場を満たし、傷を素早く癒していく。激戦のさなかでも、仲間たちのコンディションは常に万全に保たれていた。

 わずか10分で模擬敵は全滅した。戦場は静寂を取り戻し、彼らの荒い息遣いだけが空気に響いている。

「なかなかだな」教官は満足げに微笑んだ。「シミュレーション訓練で能力が制限されていたとはいえ、チームワークと複雑な状況への対応は見事だった」

 訓練後、アリソンは全員を軍の装備庫へと案内した。

 装備倉庫の扉は完全武装の兵士たちによって厳重に守られ、周囲には自動砲塔と浮遊型の魔法監視装置が配置されている。いかなる不審な行動も、その厳しい監視の目を逃れることはできない。兵士たちの巡回のもと、すべての入館者は徹底した検査を受ける決まりだ。

 アリソンの助けを借り、幾重もの身分確認を終えて、ようやく全員が倉庫の中へと足を踏み入れた。辺りには金属と油、そして魔力が入り混じった独特の匂いが漂っている。

 周囲にはさまざまな武器ラックが整然と並び、古代から現代に至るまで選りすぐられた武器や装備が展示されていた。鋭利な剣、優美なシミター、ハイテク銃、エネルギー兵器――その一つひとつが鋭い殺気を放っている。壁には精巧な古代兵器が掛けられ、倉庫の隅には各種ハイテク兵器システムが並べられていた。また、複雑な魔力装置や強化装置が覚醒の時を待つかのように、淡く神秘的な光を放っている。

「すごい……こんなに武器と装備があるなんて!」

 愛理は目を輝かせながら辺りを見回し、棚に並ぶさまざまな装備を興味深そうに眺める。手を伸ばし、いくつかの銃にそっと触れては、その秘められた力を確かめるように撫でた。

 アリソンは微笑みながら説明を始めた。

「ここは軍の最上位装備倉庫よ。武器も防具もすべて厳選されていて、徹底的に強化されているわ。ただ強力な戦闘能力を発揮できるだけじゃなく、使用者に合わせて調整することもできるの。この倉庫に並んでいる武器なら、ほとんどどんな戦闘状況にも対応できるし、中には魔法装置が組み込まれていて、決定的な場面で強力な魔法効果を発動させるものもあるのよ」

 ひと呼吸置いて、彼女はさらに続けた。

「大統領閣下からも許可が出ているわ。皆さんには、自分に合った装備を自由に選んでもらえるって。今回の任務に参加してくれるお礼だそうよ」

最初はキャラの設定だけを考えるつもりだったんですが、ふと「この人の回想編を書いてみたいな」と思いついてしまって、気づけば外伝がひとつ増えてしまいました(苦笑)。

外伝の役割自体ははっきりしていて、次の作品へつなぐ橋みたいな存在にしたいと思っています。シリーズ全体をつなげる助けになる感じですね。でも正直なところ、この外伝はほとんど自分の趣味で書いてる部分が大きいです。だってその世界観を考えるだけでワクワクしてくるんですよ!

最初は別作品として独立させようかとも考えましたが、どうつなげるかまだ決めきれていないので、とりあえずは今の作品の外伝として扱うことにしました。そんなわけで、第2部のストーリーはますます大きくなりそうです(苦笑)。お楽しみに~!

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