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17 Ignite the Nova

 秋の午後。衆議院の外では、木々の梢の隙間から柔らかな陽光が差し込み、黄金色の落ち葉が風に舞い、通りの両側に敷かれた石畳を静かに覆っていた。揺れる木陰がまだら模様の光と影を描き、そよ風が秋特有の涼しさを運んでくる。さらに、遠くの庭に咲き残る花々のほのかな香りも漂い、午後のひとときはひときわ静かで、心地よく穏やかな空気に包まれていた。

 アリソンは真一たち一行を伴い、大統領執務室の広々とした廊下を進み、壮麗なレセプションホールを抜けて、やがて衆議院の正面玄関へと辿り着いた。彼女は微笑みながら皆に軽く頷き、案内するように手振りを見せる。

「今夜の宿泊場所はすでに手配しております。こちらへ――」

 その言葉が言い終わらぬうちに、遠くから猛獣の咆哮のような、低く唸る轟音が響き渡り、一瞬で全員の視線を引き寄せた。

 通りの端から、燃えるような赤い光が疾風のごとく駆け抜け、午後の陽光を浴びて、まるで紅蓮の炎のように迫ってくる。それは、滑らかで攻撃的なフォルムを持つ真紅のレーシングバイクだった。美しいボディラインには黒の炎のペイントが施され、鋭いヘッドライトは猛獣の双眸のように鋭く光を放っている。排気管からは灼熱の熱風が噴き出し、空気を歪ませる残像を残していた。轟くエンジン音が大気を震わせ、誰もが息を呑んだ。

 衆議院前の広場に差しかかると、バイクは急減速し、最後の瞬間に車体を傾け、後輪が石畳の上で火花を散らす。そして、まるで綿密に計算されたかのように、ぴたりと静止した。

 ライダーは漆黒のタイトなレザージャケットに、スリムなコンバットパンツ、そして膝下まであるロングブーツを身にまとっていた。その引き締まったシルエットはしなやかでありながら、力強さも併せ持つ。首元には繊細な細工のネックレスが掛けられ、その先には美しく彫刻されたエンブレムが揺れている。縁はわずかに擦り切れており、長い年月を刻んだその意匠は、まるで由緒ある貴族の紋章のように、陽光のもとで冷たい光を返していた。

 彼女はゆっくりと足を上げ、バイクから降り立った。黒革のロングブーツが石畳を打ち、乾いた音を響かせる。ヘルメットを外し、長い髪を軽く振ると、ダークブラウンの髪がふわりと肩に落ちた。アイスブルーの瞳に陽光が差し込み、ほんのりと冷たい光を帯びる。

 口元に微笑みを浮かべると、ヘルメットをバイクのシートに無造作に置き、レザージャケットの裾を整え、ゆったりとした足取りで真一のもとへと歩み寄る。その一歩一歩には優雅さと確かな自信が宿り、口元には意味ありげな笑みが浮かんでいた。

「よう、真ちゃん。久しぶりだな」

 その瞬間、場の空気が凍りつく。

 真一は呆然とし、慌てて記憶を探ったものの、この女性に見覚えがないことを確信する。親しげな口調はまるで旧友のようだが、これまで一度たりとも会った覚えはなかった。

 愛理は警戒心を露わにしながら真一の隣に立ち、明るい茶色のツインテールをわずかに揺らし、澄んだ瞳で相手を値踏みするように見つめる。

「あなた、誰?」

 その隣で、リアは下唇をそっと噛み、青い瞳にほんの少しの好奇心と、わずかな不安の色を浮かべていた。

 一方、サティーナは腕を組み、唇の端をわずかに上げながら、目の前の女を面白そうに眺めている。

 女はくすりと微笑み、軽やかでありながらも圧倒的な存在感をまとい、その場の全員に向かってゆっくりと歩み寄ってきた。

「あ、ごめんね。まずは自己紹介しないとね」

 彼女は少し眉を上げ、意味ありげに微笑んだ。

「私はヴィクトリア(Victoria)ウィンチェスター(Winchester)。コードネームは『ノヴァ(Nova)』よ」

 一拍置いて、さらに口元を深く緩める。

「今回の任務では、ガイド役も務めさせてもらうわ」

「な、何だって?!」

 皆は驚愕の表情で顔を見合わせた。あの大統領と総司令官が絶賛していた傭兵が、まさか目の前のこの若く美しい女性だとは、誰も思いもしなかった。

 彼女の顔立ちは深く立体的で、欧米の美意識にも通じる洗練された美貌を備えている。白く整った肌は太陽の光を受け、柔らかな輝きを放っていた。体の大部分はタイトなレザージャケットとスリムな戦闘用パンツに包まれていたが、露出した首筋と鎖骨から、その肌の滑らかさと繊細さが想像できた。

 さらに驚くべきことに、彼女はまるで皆の心の内を見透かしているかのようだった。唇の端を上げ、ゆっくりと言う。

「私みたいなベテラン傭兵って、普通は三十代か四十代くらいだと思うでしょ?」

 氷のように透き通った青い瞳を瞬かせ、その奥に狡猾な光を宿す。

「残念だけど、まだ今年で二十四よ」

 空気が一瞬止まり、さらに大きな驚きが広がった。

 ただ、アリソンだけはまったく驚いた様子もなく、お馴染みの笑みを浮かべながら腰に手を当て、からかうように声をかける。

「ヴィック、相変わらずね。ほんと、サプライズ好きなのだから」

 そして眉を少し上げ、さらに茶化すように言った。

「また寄り道してバイクを見せびらかしに来たのじゃないの?」

 それを聞いたヴィクトリアの笑みはさらに深まった。ゆっくりとアリソンに歩み寄り、指先でそっと彼女の顎を持ち上げ、気だるげに、からかうような口調で言う。

「どうしたの? 嫉妬でもしているのかしら。だって、私の愛車のほうが、あなたの公用車よりずっとかっこいいのだもの」

今日は『Gundam SEED FREEDOM』を観てきました。前半はやっぱりちょっとドロドロで、「え、キラがラクスを信じないの!? しかもあっさり外の人に騙されちゃうの!?」ってツッコミ入れながら観てました(笑)。でも後半からはだんだん面白くなってきて、戦闘シーンなのにみんな頭の中がエロいことばっかりで、もう笑うしかなかったです。


ただ、この劇場版のおかげで、第5部の構想が少し膨らみました。前にも言ったかもしれませんが、第5部はメカものになる予定で、大規模な戦闘や頭脳戦がいっぱい出てくる感じです。実際にそこまで書けるかどうかはまだ分かりませんが、まあ気長に楽しみにしてもらえたら嬉しいです!

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