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14 Why I Want You to Win

 それを聞いたリアは、かすかに震え、無意識にスカートの裾を握りしめた。眉をひそめ、この空の下にはもう何も隠せないのではないかという不安を目に浮かべる。軽く唇を噛み、ゆっくりと視線を落とす。その指先はわずかに白くなり、至るところに張り巡らされた監視の存在に怯えているのは明らかだった。

 大統領は高らかに笑い、指を振った。

「――ああ、誤解しないでほしい。我々は君たちを監視するためにいるのではない。人類の存続とレサージス・シティの安全を守るためだ。この魔王軍に蹂躙された世界では、第一手の情報を得ることが不可欠なのだ。魔王軍は兵力も数も圧倒的で、もし彼らに最終決戦の準備を整えられれば、人類は滅亡の危機に瀕するだろう。だからこそ、その前に未来への希望を繋ぐため、可能な限りの戦力強化を図らねばならない」

 愛理は「霊魂連結」を通じて仲間たちに思いを伝えた。

『大統領の言葉には偽りはありません。一言、すべて本心です』

 サティーナは興味深げに眉を上げ、ふっと微笑んだ。

「ふふ、汝らは本当に用意周到なのだな」

「もちろんです」

 大統領は誇らしげに両手を広げた。

「情報を掌握してこそ、状況を制することができるのです」

 真一はしばし思案し、やがてゆっくりと頷いた。いずれにせよ、彼らはすでにこの状況の渦中にあり、これからの行動は必然的にレサージス・シティの諜報網と関わることになるだろう。

 大統領は満足そうに一同を見渡し、軽くうなずいたのち、微笑みを消し、徐々に真剣な口調へと変わった。

「――さて、余談はここまでだ」

 彼は腕を組み、軽く身を乗り出し、出席者一人ひとりを見回した。

「本日の会議は、諸君の功績を称える場だけではない。もっと重要な議題がある」

 次の話題が先ほどカイルの口にした任務に関わるものであると悟り、真一の胸はわずかに締めつけられた。彼は顔を上げ、大統領の視線を正面から受け止める。

「ブラウン大佐から簡単な説明は受けているはずだ」

 大統領はテーブルの上で両手を組み、さらに重々しい口調で続けた。

「今回の任務は、魔王軍の情報提供者との接触を含んでいる。この謎の人物は自ら我々の情報網に接触し、極秘裏に面会を求めた上で、魔王軍の核心的な機密情報を提供すると申し出てきた。彼の話によれば、魔王軍は戦況全体に深刻な影響を及ぼす可能性のある新たな戦略を実行しつつあるという」

 そこで一旦言葉を切り、鋭い視線で場を見渡した。

「もちろん、我々は容易に誰かを信用するつもりはない。ましてや魔王軍の者など。我々の情報機関はこの情報について幾重にも裏取りを行い、高い信憑性があると判断している。だが、それでも軽率な行動は禁物だ。だからこそ、諸君をここレサージス・シティへ招いた。特にサティーナさん、君の魔王軍に関する知識と経験は、この情報の真偽を検証し分析する上で極めて重要だ」

 それを聞いた真一たちは、納得したように静かにうなずいた。

 大統領はわずかに微笑み、隣の人物へと視線を向ける。

「任務の詳細説明に入る前に、最高司令官のマスクを紹介しよう」

 彼は皆に合図を送った。

「マスクはレサージス・シティ軍の総司令官であり、要塞全体の防衛と戦略展開の責務を担っている。規律に厳しく、徹底した職務遂行を旨とする人物だ。人類の存続を守るため、昼夜を問わず職務に身を投じている。今回の任務についての説明は、彼から行ってもらう」

 そう言うと、大統領はマスクの方へ向き直り、「よろしい、総司令官。この任務の詳細を皆に説明してくれ」と促した。

正直、推理パートの構成がこんなに大変だとは思いませんでした。トリックや証拠、容疑、推理の流れ、動機、登場人物の心理まで——どれも矛盾がないように丁寧に考えなきゃいけなくて、それでいて読者が「なるほど」と思えるような自然さも必要なんですよね。

そこにさらに、どんでん返しや黒幕の存在まで入れるとなると……もう難易度爆上がりです(笑)。

ちなみに、当初の構想では戦闘シーンも加える予定で、それがまた一段とハードルを上げてくれました。

この内容は第2部『悪魔城推理編』にあたりますので、ぜひお楽しみに!

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