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13 Think Like A Strategist: Trust, Strategy, and Control

 大統領は深くうなずき、今度は愛理へと視線を向けた。

「星川愛理、君は常に雷野氏の目標を支え続け、精神的にも行動面でも無条件に彼を助けてきました。そして彼が瀕死の状況に陥った時、毅然と自身の能力を覚醒させた。その覚醒があったからこそ、雷野氏は予想を超える力を発揮し、強大な敵を打ち倒すことができたのです。君の献身と粘り強さは、まさに賞賛に値します。」

 愛理は少し顔を赤らめながらも、毅然とした口調で答えた。

「私は、やるべきことをしただけです。」

 続いて、大統領はリアを見つめ、優しさと敬意を込めたまなざしを向けた。

「エルフ族のリアよ。魔王軍の捕虜となったあなたは、囚われの家族や仲間たちを案じながらも、人類と世界の平和のために力を尽くしてくれた。その忍耐と無私の行いに、心から敬意を表する。」

 リアは俯き、瞳にかすかな悲しみを宿した。今も囚われている妹のことを思い、思わず拳を握りしめる。そして、少し悲しげながらも毅然とした口調で言った。

「すべては、この世界に平和を取り戻し、エルフたちが再び自由を手にするためです。」

 最後に、大統領の視線はサティーナへと移り、口元に意味ありげな笑みを浮かべた。

「サティーナ。魔王軍の高官という過去を捨て、正義の側に立つ決断には並々ならぬ勇気が要る。その知恵と善悪を見極める力で、君は我々が最も信頼する仲間のひとりとなった。」

 サティーナはくすくすと笑い、優雅に巻き髪を指先に絡める。その瞳には狡猾さと自信が垣間見えた。

「大統領閣下、そのお言葉、大変嬉しく、光栄に存じます。」

 彼女は少し身を乗り出し、唇の端に意味ありげな微笑を浮かべる。

「ただ、誤解なさらないでください。我がこの道を選んだのは、汝ら方のためではなく、自らの意志によるもの。それでも、汝の評価には心より感謝いたします。」

 大統領は微笑んだ後、表情を引き締めて言った。

「理由はどうあれ、君の貢献は揺るぎないものだ。」

 真一と仲間たちは、それが単なる賞賛ではなく、象徴的な認識でもあることを理解しながら、大統領の言葉に静かに耳を傾けていた。

 そのとき、真一はかすかに眉をひそめ、目に疑念の色を浮かべた。そして、ゆっくりと言った。

「大統領閣下、貴方様は僕たちが思っていた以上に、僕たちのことをご存知のようですね」

 愛理もわずかに頷き、驚きの表情を浮かべながら言葉を続けた。

「確かに……閣下は、私たちの行動だけでなく、その詳細までもご存知なのですね。それで気になったのですが、一体どうやってその情報を手に入れられたのですか?」

 リアとサティーナは顔を見合わせ、大統領の情報の正確さに驚きを隠せない様子だった。

 それを聞いた大統領は、自信に満ちた笑みを浮かべ、指でテーブルを軽く叩いた。

「単純なことだ。レサージス・シティは、世界で最も高度な諜報ネットワークを有している」

 彼は背もたれに寄りかかり、両手を組んで続けた。

「要塞の安全を守るため、我々の軍事情報機関は常に世界の動向に目を光らせている。魔王軍との戦いはもちろん、他の要塞都市の動きも綿密に監視している。君たちが蓮華城で成し遂げたことも、当然すべて把握している」

「諜報機関……」真一は何かを考え込むように、低くつぶやいた。

 そのとき、マスクが低い声で補足した。

「我々の軍は、最先端の魔導探知装備を備え、情報機関には情報収集の専門家やその能力を持つ者たちを集めている。さらに、世界各地に複数の情報拠点を配置している。現在の世界情勢の変動に関わる以上、常に第一手の情報を掌握しておかねばならないのだ」

 愛理は目を大きく見開き、驚きを隠せずに尋ねた。

「つまり、私たちの行動はすべて……監視されているということですか?」

最近ちょっと時間ができたので、第4巻の表紙イラストを先に作ってみました。今回の表紙キャラは、“お姉さん系能力者”のヴィクトリア・ウィンチェスター。全体的にちょっと憂いを帯びた雰囲気で、彼女がこの巻のキーパーソンとして、主人公との複雑な関係性を描く物語の流れにぴったりな仕上がりになっています。


正直、出来上がったキャラのビジュアルは、自分が想像していたヴィクトリアとは少し違ったんですが、「きっと自分の描写から生成されたら、こうなるんだろうなぁ」って思えてきて、結局そのまま採用することにしました。結果的に、今どきのアニメや漫画に出てくる“カッコイイ美人”っぽさが出てて、これはこれでアリかなって。


本当は表紙にタイトルも入れようと思ったんですけど、どうもしっくりこなくて、今回は見送りにしました。とはいえ、現時点の更新スピードではヴィクトリアの本格登場はもう少し先になりそうですが、気になる方はぜひ第4巻のエピソード1を先読みしてみてくださいね。お楽しみに!

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