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10 Forge or Fight: Clash Among Allied Elites

 金髪の青年がふと足を止め、髪を軽く払うと、口元に意味ありげな笑みを浮かべた。

「ミスター・シンイチ・レイノだな?」

 その声は自信に満ち、どこか挑発的な響きを帯びていた。

「聞いているぞ、あんたがこのチームのリーダーだそうだな。我々はレサージス・シティ随一の精鋭部隊だ。せっかくだ、どちらが本物の強者か、確かめてみようじゃないか」

ジェイソン(Jason)グロリアン(Glorian)

 アリソンがちょうど良いタイミングで口を開き、真一に紹介した。

「こちらはジェイソン隊長。あなたたちと同じく、今回の任務に招集されたわ。彼らは軍で唯一、魔王軍の討伐に特化した特殊戦闘部隊で、戦闘力も戦術連携も群を抜いているの」

 真一は静かにジェイソンを見つめた。相手の傲慢な態度にも動じることなく、むしろ穏やかに微笑んだ。

「それは光栄だな」

「ふん」

 ジェイソンは鼻で笑い、真一の落ち着きに少し退屈そうな様子を見せた。

 アリソンは続けた。

「彼女はアイリーン(Irene)グエン(Nguyen)。ジェイソンの副官であり、チームの戦術顧問よ」

 アイリーンは眼鏡を指で押し上げ、ちらりとジェイソンを見やると、口元をわずかに引きつらせた。どうやら彼の態度には呆れているようだ。それでも礼儀正しく頷き、

「お会いできて嬉しいわ。期待しているわね」

 と静かに微笑んだ。

「そしてこちらが、近接戦闘のエキスパート、マコア(Makoa)カハレ(Kahale)だ」

 マコアは白い歯を見せてニカッと笑い、力強く手を差し出した。

「やあ!あんたたちも相当腕が立つって聞いているぜ。一緒に戦えるのが楽しみだ」

「それから、この子」

 アリソンが最後に、寡黙な少女を見やった。

「後衛支援と防御を担当する、エリカ(Erika)ブラウン(Brown)

 エリカは何も言わず、真一たちを見ることもせず、ただ軽く頷くだけだった。

 そんなエリカの様子を見て、アリソンは相変わらずプロフェッショナルな笑みを浮かべながら、話を続けた。

「さっきも言ったけど、ジェイソンの部隊はレサージス・シティ随一の精鋭部隊であり、軍の中で唯一、魔王軍に特化した戦闘部隊なの。結成以来、数えきれないほど魔王軍の主力を撃退し、この世界における魔王軍の拠点を突き止め、要塞にとって極めて重要な戦略情報を提供してきたわ。彼らの存在があったからこそ、北米要塞は常に魔王軍との戦いで優位を保ってこられたの」

 それを聞いたジェイソンの笑みはさらに深まり、再び視線を真一へと向けた。

「今回の任務、あなたと『協力』できるのを楽しみにしている」

 その「協力」という言葉には、明らかに挑発的な響きが込められており、その目には挑戦的な光が宿っていた。

 真一はその視線を静かに受け止め、表情を変えぬまま、わずかに口元を緩めた。

「協力するのはいいことだが、君の口ぶりだと、まるで敵を探しているように聞こえるな」

 ジェイソンは鼻で笑い、腕を組んで少し身を乗り出した。

「そう思うなら、それでも構わないさ。強者同士なら、一度腕試しして、どちらが上か確かめたくなるものだろ?」

「今回の任務、ずいぶん楽しみにしているみたいだな」

 真一は冷静に返す。

「でも、こんな場で優劣を競っても意味はないのじゃないか?」

 ジェイソンは一瞬驚いたようだったが、すぐにいたずらっぽい笑みを浮かべた。

「面白いな。どこまで冷静でいられるのか、それとも口だけなのか、楽しみにしているぜ」

 アイリーンは呆れたようにため息をつき、眼鏡に手をかけた。

「ジェイソン、初っ端から騒ぎを起こさないで」

 それから真一の方へ向き直り、少しかしこまったが誠実な口調で言った。

「申し訳ありません。うちの隊長はいつもこんな調子で挑発的なのです。あまりお気になさらないでください」

「おいおい、アイリーン。そんなに堅くならなくていいだろ」

 ジェイソンは肩をすくめ、軽く笑いながら言った。

「落ち着けって。ただの友好的な競争だぜ!俺たちは敵じゃなく、良きライバルだろ?な?」

 そう言うと、わざと金色の髪を揺らし、まるで英雄の登場シーンのようにキメポーズを取った。なぜかその背後には妙な後光が差し、一段と眩しく見えた。

 アイリーンは目尻をぴくりとさせ、呆れ顔で言った。

「……そういう正論っぽいこと言うの、やめた方がいいわよ」

 と言いつつも、その頬はほんのり赤らんでいた。

 それを見た真一は、くすりと笑みを浮かべ、穏やかな口調で言った。

「まぁ、いい刺激になりそうだし、こちらも学べることがあればありがたいね」

 近くにいた愛理も柔らかく微笑み、優しい声で言った。

「大丈夫ですよ。ジェイソン隊長も、きっとフェアな勝負を楽しみにしているだけなのです。魔王軍に対抗できるチームなんて、そうそういませんからね。適度な競争は、いいモチベーションにもなりますし」

 かすかに視線が揺れる。「霊魂連結」を通じて、ジェイソンの心に悪意がないことを感じ取った。実のところ、彼が競争心を見せたのは、蓮華城で真一が魔王軍四天王の一人・サティーナを打ち倒し、しかも彼女を仲間に引き入れたという武勇伝を耳にしたからだ。だからこそ、少し試してみたくなったのだろう。

 愛理はそっと顔をジェイソンの方へ向け、優しく微笑んだ。

「実際のところ、ジェイソン隊長は敵意というより、お互いの腕を確かめたいだけなのでしょう?」

 ジェイソンは思わず眉を上げ、意外そうな顔をしたが、すぐに笑って言った。

「はは、面白いな。ミスター・シンイチ・レイノ、あなたの仲間の方が口が達者だ」

 アイリーンは呆れたようにため息をつき、真一は肩を軽くすくめる。

「まあ、お褒めいただき光栄です。僕たち、いいチームワークですから」

今日、久しぶりに玉置成実さんの「Reason」を聴いて、改めて『ガンダムSEED DESTINY』の第1話で、シン・アスカが上から振り下ろすあのシーンの衝撃を思い出しました。


正直に言うと、自分は『DESTINY』からガンダムシリーズを観始めたんです。もちろん、キラやアスランのガンダムもめちゃくちゃ格好良いんですけど、あの瞬間の衝撃には敵わなくて。今でも「Reason」を聴くと、自然とあのシーンが脳裏に浮かびます。


だからこそ、第1部外伝を書くときに、どうしてもあの衝撃を再現したくなって。文字数はそんなに割けなかったけど、自分なりにあの時の緊張感と衝撃を読者の皆さんにも感じてもらえるよう意識して描きました。


もし少しでも伝わっていたら嬉しいです!これからもご期待ください!

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