休む勇気
一日に二本もエッセイ投稿……純文学の執筆から逃げの姿勢でお送りします。あと、今回は珍しく(?)内容薄めです。水割りされてます。
さてさて皆さん、このような言葉を言われた経験はありますでしょうか?
――無理なら大丈夫。
私は直近で二回ほど言われてしまいました。それも違う場所、違う人からです。
流行り病に掛かったタイミングですとか、まだ検査もしていないけれど発熱だけしている……行くべきところに行くべきか、休むべきか分からない状態のとき、まずはきっちり「報告」から始めますよね。
「熱がでました。本日はお休みをいただいてもよろしいでしょうか?」
みたいな感じで。
『報連相』なんて社会では最も重要なことの一つですし、その用事がなんであれ、『体調が悪いから休みたい』という意思を伝えるのはある種当然。家族や友人といった親しい間柄であろうと、相手に伝えないと「なんで来ないんだろう?」と心配されますし、ただ黙っているだけで『体調が悪い』なんて伝わるはずないんですから。
もちろんあなたがテレパシーとか使えるなら別です。多様性は尊重される傾向にあるので、ぜひテレパシーで伝えてみてください。ぴぽぱぴぽぱぴぴぴぴぴ――てな感じで。
話が脱線してしまったので戻しますが、もちろん私も発熱した場合「休みます」と、その旨をしっかり記載したうえで相手方に連絡します(連絡方法は電話だったりメッセージアプリであったり様々です)。
多くは「休んでもよろしいでしょうか?」みたいな感じで、いきなりドーンと「休みます!!」とは言わない(というか言えない)。特に『ただの熱』であれば我慢する人も少なくないので、休むという行為のために割り切れなかったりします。
すると、どうなるか?
最初にもあった通り、『あの』悪魔の言葉が飛んでくるのです。
――無理なら大丈夫。(です)(だよ)
いやいや、待ってください。
「『無理なら』って、熱が出てて『無理』だから連絡したのに、そんなの『無理』に決まってるじゃないですか!」
「まさか、これは新手の圧力の掛け方なのか……?」
「休むなっていう遠回しのメッセージ……?」
色々考え付くことがあることでしょう。私としても、この『無理なら』とか『無理そうなら』という言葉は好きでありません。これらは自分から提案した故の感情とも言えるのですが、まず初めに、なんと返せばいいのか分からなくなってしまう。
まさか、「無理なのでお休みします」、なんて言えるわけもない。言えるあなたには今日から【現代の勇者】という称号を授けましょう。
――それで、果たしてなんと返すのが正解なのか?
実際問題として、無理であるから休もうとしているのに、それを『無理』という単語を使わずして説明しなければならないなんて、まあ無理のある話です。
強いて言うならば「発熱してしまった」が一番適切なのものであり、
「発熱したのでお休みしたいです」
「無理そうならオーケーです」
「発熱したのでお休みします」
みたいな。
いや現実にこんな会話ないですけど(さすがに盛ってます)、これが熱じゃなくて咳であったら全然あり得る話なんですよね。
「咳が続いているのでお休みしたいです」
「無理そうなら了解です」
「咳がひどいのでお休みします」
――かなり現実的な会話になりました。
無理と直接的には言わずに、それでもしっかり休む意思表示をしています。
あえてこの場合の正解を作るのであれば、それは起きた現象によって『自分がどうなっているのか』を説明することなんです。『辛い』とか『苦しい』とか咳なら『咳がひどい(ので苦しいよねという意味)』とか。もっと直接的な解決法を言うならまず、『休みたい』という希望的な言い方から改めた方がいいんですけど……それは、今回の話の趣旨とは違うことなので言及しません。
これらのお話は“自分から”によって引き起こされる問題なのですが、ここで反対の状況についても考えてみたいと思います。
反対の状況とはそれ即ち『相手からお願い』された状況のことです。
バイトのシフト制で考えてみましょう。
あなたは土曜日に友人と遊ぶ約束があります。だというのに、バイト先の店長(もしくは偉い人)から「今度の土曜日のこの時間帯(ちょうど遊ぶ約束の時間帯)入れない?」と言われました。そしてさらに、畳み掛けるかの勢いで「無理なら大丈夫だけど」なんて追撃も。
明らかに『無理』ではないですよね。友人との遊びだなんてまた今度にして断っておけばいいのですから、『無理』というには無理があります。
しかし、無理ではないにしても友人との約束は反故したくない。できるなら入りたくないと思うのが普通です。
そこで、ですよ。
この場合、皆さんならどのようにして“休み”を勝ち取りますか?
まさかまさか、正直に言うなんてことしませんよね?もし正直に言えるのならば、そんなあなたには【現代版勇者】の称号を与えます。
――しかし、勇者というのはそう何人も存在しません。
勇気のない者はどうすれば休みを勝ち取れるのでしょう?
答え……答え……答え……申し訳ありませんが、いくら私が考えてみても、『勇気』のない人にこの状況を覆せる未来は見えません。
どんな方法であれ、休みを勝ち取るためには“休みたい”という意思を伝えなければならないのです。
そして、そのもっともな方法がNOを突きつけること。つまり「無理です」と言ってしまうことを指します。
残酷なようですがこの世界、相手に自分の思っていることをどうにかして伝えなければ、自分の思い通りにはなりません。
最初にお話したように、現代社会では『報連相』がとても大事。「熱がでました」という報告はできても「無理です」という報告ができないなんて、そんなわけないんです。必要なのはそれを言うための勇気であって、どちらも事実であることに変わりがないのですから、後ろめたさを感じずに自分を奮起させましょう。
――私はもちろん、素直に「無理です」と伝えています。
念押しさせてください。皆さん、『報連相』は大事ですよ!!
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