4話
エズラ目線です。
「う、眩しい……。今何時だよ。明けはしんどいがなんかスッキリした感じ。まだ8時か…もう一眠り……………。は?」
隣を見ると柔らかな弾力と黒髪の可愛い女の子が寝ていた。それから辺りを見回すと見覚えのある部屋。職場のVIPスイートルームだ。
焦りながらも昨日の記憶を必死に思い出す。
なんでこうなってんだ?
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夜勤明けの目をこすりながらいつもの帰り道を歩いていた。
今日も散々だった。
「新婚旅行で来てるって言っただろ!!出かけてる間に俺以外の男が部屋に居てるんだよ!どう考えてもお前ら(ホテル側)が悪いだろ!」
「お客様、カメラを確認させて頂きましたが奥様が手を繋いで一緒に入って来ていたので知り合いかと思いまして。」
「確認しろよ!」
「プライバシーですのでそこまでは」
と伝えると奥様を睨んだ後お金を叩きつけるように払い出て行く。
その後奥様は「空気を読んで旦那を足止めするなり部屋に電話しなさいよ!気が利かないわね」なんて言いながら旦那を追って歩く。
心の中で毒を吐きながら笑顔で挨拶をする
「またのお越しをお待ちしております」
後輩達からは尊敬の目で見られていたことを気付かない。
ー知らねーよ!
浮気した嫁が悪いだろ!こっちにあたんな!
クソッタレ!!嫁も嫁だ!
どう考えても、結婚したの間違いだろ。
思い出すだけでもムカムカする。
その後笑顔で挨拶できた俺ってマジ偉いわ。
自分を褒めながら顔馴染みの飲み屋へ行く。
「ちわ〜っす」
「へい、らっしゃい!待ってたよ!」
「いつ来ても空いてんなー!エール」
「オシャレすぎて遠慮してんだよ!お待ち」
「ボロすぎて来ねぇだけだろ」
「ハッハッハ!で、今日は何があったんだ?」
「聞いてくれよ〜」
しばらく話して酔いが回ってきた頃、偉く美人な女が入ってきた。
眠くなり、耳を傾けてると「運命の王子様を探してる♡」なんて聞こえ思わず吹いてしまった。
ー何が王子様だ!何が神様だ!
頭おかしいんじゃねぇか!
神がもし居るなら俺はクビにならずに済んだってんだ。
あまりの夢見話で思わず
「王子なんて居ねぇし、神様なんて居ねぇ」と絡んじまった。
店主になだめられてる時には
「見つけた♡」
なんて目を♡にしながら、彼女は居るのか結婚してるのかだの聞いてきやがる。
なんなんだよ、こいつ。
接客で散々外国人客を相手にしてんだ
外国人なんて論外だし、女は全員浮気するんだ。
思わず、目線を下げると大きな胸が目に入る
そういや、クビになったり追い出されたり色々あって何年も抱いてねぇな。
王子なんて言うなら現実見せてやろうか。
明日もどうせ、「サイオージなんとか」って外国の社長令嬢かなんかめんどくせーのを相手にしなきゃ行けねぇーみたいだしよ。
ここでストレス発散ってのもありだな。
「王子様ぁ、話聞きたいな♡」
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それから酒を飲んで起きたら……
ベッドに女が居て……
やっちまった……。
最悪だ。
しかも、職場でって。
まぁ、この女の事なんて誰もわかんねぇだろうし
直で出勤出来たと思ったらいっか。
寝ているうちに静かにベッドから出たエズラは何事もなくロッカーへ向かう。
いつものように制服を着る
夜勤明けの職員と引き継ぐ時にぎょっとした目をされる。
「え?おはようございます。なにかありましたか?」笑顔で聞くと
「いや、エズラさん社長とお知り合いだったんですね!しかもあんなに熱烈に……。」
「なんのことですか?」
しまった……。
昨日部屋に入ったのを見られたか?
冷や汗を書きながら聞き入る。
けど、社長って?と思わず共有されていた社長の写真を見る。
!?
そこには昨日一緒に飲み、部屋へ行き1晩重ねたであろう女が写っていた。
や、やべぇぇ