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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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竜伎 第九節

 トーコの言葉を聞いたヒメは肩をすくませそう言い放つと、突然立ち上がり・・・瞬間的にトーコの眼前まで移動し、吐息が掛かる程顔面を彼女に近付け丹念に観察します。


「・・・」


 トーコはそのヒメの何の前触れも無い突然の行動に息を飲み全身を硬直させてしまいます。

 そして暫くトーコを視ていたヒメは、顔を離しある事を彼女に提案します。


「君の魂を視てみた所どうやら魔工師の適切と資質がある。ならこのシン・ロンにある学院で色々と学び、知識と資格という力を得る事をお勧めするよ」


「私が魔工師に!?う~んでも私はあまりこの世界のロボット兵器であるキャバルリーも含めて機械全般にあんまり興味が無いんですが・・・」


 ヒメの提案にトーコは怪訝そうに答えます。


「それは君がまだこの星の事をよく知らないからさ。まあそれもテューロス地方いやドラッヘ随一の知の総本山たる学院に通い、学んでいけば君はおのずと魔工師の道へと進むだろうさ。それに・・・」


「それに?」


「君程に秘めたる才があるなら知識を得て、様々な技術を習得すればそう間を置かず君はオリジナルのキャバルリーを開発、建造出来る様になる。それはつまりトワ・キビマキという機士に最も適した専用機を造り彼女の力になれるという事さ」


「それは確かにトワの力になれそうですね」


 ヒメの言葉に興味を持ったトーコがそう言うと、彼女は畳み掛ける様に言葉を続けます。


「更に上手くすれば、君の造った新型キャバルリーやそれに関連する技術を一つないし複数の国家が買い取れば、君に支払われる軍事ロイヤリティーは莫大な金額になる。それだけでも金銭面で彼女の大きな支えになるのだから悪い話では無いと思うがねぇ~」


 そうヒメはいかにも人の悪そうな顔を浮かべてトーコを諭します。

 ヒメの言葉を受け暫く悩み沈黙していたトーコでしたが、やがて何かを諦めたように言葉を発します。


「正直、兵器にまつわる事を学んでかつそれを売ってお金儲けしようとする事に嫌悪感を覚えますが・・・背に腹は変えられません。その学院という所にありがたく通わせてもらいます」


トーコはヒメの瞳をしっかりと見据えそう力強く発言します。


「そうかい。なら学院への転入届けと推薦状を私が直々に書いて、学院長に渡しておくよ」


 そうヒメは嬉々としてトーコに言い放つと早速元の場所に戻り書簡を書き始めました。

 そんな様子を呆気に取られて見ていたトーコはやや冷静になるとある事をヒメに問います。


「・・・なんでヒメ様はトワや私に対して、その色々と気を回してくれるのですか?」


「それは彼女達、四頭のドラゴン達が君らの事を少なからず興味を持っているからさ。そうでなければ私もわざわざ君達の相手などしないさ」


(なぜドラゴン達は私達に興味があるんですか?)


 そんな疑問が頭の中に浮かんだトーコは思わずヒメにその事を聞こうとしましたが、ギニー火山における赤竜ロッソとの会話を思い出し、ドラゴンは人間を含む全ての種族に比べ遥か高次元にいる存在であり、彼女達が何を考えているなど人間には推し量れない事を思い出しトーコは口を閉ざします。


「ああ、学院への書類の提出や各種手続きは私がやっておくから君はもう下がっていいよ」


「は、はい色々とありがとうございます」


 ヒメの言葉にそう返答したトーコはそのまま広間から退出します。


 こうしてここシン・ロンにおいてトワは竜伎の下で修行を行い、トーコは学院において知識を学ぶ事になりました。



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