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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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竜伎 第六節

「私に聞きたい事とは・・・?」


「まず第一に君達地球人が、この星ドラッヘに召喚された時の事を詳しく聞かせてくれるかい?」


 そうヒメに尋ねられたトーコは若干緊張しつつも、自分の知りうる事を全て話します。


 ある日、学校で授業を受けていたら目の前の黒板に術式が突然現れた事--


 その術式が強烈な光を放ち・・・気が付いたらこの星、正確にはプーリタイ島の北部を領土とするハイライン王国の王城地下深くにある古代エルフ文明の遺跡に招かれていた事--


 そして自分を含む学校のクラスメート二十八人を招いた張本人であるハイライン王国宮廷魔導師筆頭のマキロフという老人から、隣国であり長年ハイライン王国と敵対関係にあるゲインブルを打ち倒す強力な戦力として自分達を招いたと告げられた事--


 ゲインブルを打ち倒し、ハイライン王国が勝利した暁には、莫大な報酬と貴族の地位が与えられる事、更に望めば元の場所つまり地球に還してくれる事等々--


「成程、よく解った。しかし貴族の地位まで与えるとはまた気前の良い話だ。しかし・・・」


 トーコの話を聞いたヒメはそう感想を述べると小声で呟きます。


「・・・確かあの遺跡には召喚する力はあっても、送還する力は無かった筈だが・・・」


「・・・あの何か気になる事でもありましたか?」


「いやそんな事は無いよ。今のはただの独り言だから忘れてくれ」


 トーコの心配そうな声に、ヒメはそう鷹揚な態度で答えると今度は逆に彼女にある質問を投げ掛けます。


「君が、いや正確には君達地球人がこの星に招かれた理由は解った。それで君はいつまでここにいるんだい?」


「へっ?」


「ここに来るまで色々あったのは、ロブ君から聞いているが・・・もとを正せば君はハイライン王国に招かれたのだから彼の国に帰るのが普通なのでは?お仲間の地球人達もあちらにいるわけだし」


「そっ、それは・・・」


 ヒメの問いにトーコは返答に窮します。

 そんな彼女の様子を眺め意味深な笑みを浮かべたヒメは言葉を重ねます。


「君達を召喚したそのマキロフとかいう魔導師の言う事が本当なら、君達地球人の働きで戦争に勝ちゲインブルを滅ぼした暁には莫大な報酬と貴族の地位が手に入るんだろう?それに望めば故郷である地球にも還してくれるって話じゃない」


「は、はい確かにマキロフさんはそう言ってました」


「ならここでいつまでも油を売っているより、早くハイライン王国に帰った方がいいんじゃないかい?」


「それはそうなんですけど・・・今のトワの状態も気に掛かるし・・・」


「何でそこまで知り合って日の浅い彼女の事が気に掛かるのかな?所詮、件の一騎討ちの為に即席でタッグを組んだだけの仲に過ぎないのだろう?」


「それは、まあそうですけど」


「なら彼女の事など放っておいて、同胞である地球人、確か学校のクラスメートだっけ?の所に戻るのが普通じゃないかい?」


「でも・・・今のトワの症状は私が赤竜、ロッソさんに拾われたのが原因でもありますし」


「しかしそれも彼女が白竜、ビアンコに体を乗っ取られ挙句オドを暴走させて君をここテューロス地方まで吹き飛ばした事が原因だろ?なら彼女を遠ざけさえすれ、寄り添うのは変じゃないかい?」


「それは・・・」


 又もヒメの問いに対してトーコは返答に窮します。


 しかしそれと同時に何故今トワの症状が気に掛かるのか?


 何故学校のクラスメート達よりトワの事が気になるのか?


 今更ながらその事実を暫くの間、真剣に考えて・・・やがてその答えをだします。

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