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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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竜伎 第二節

「-うっ!」


 猛烈な吐き気と共にトワは目を覚ましました。


「最悪の寝覚めだ・・・胃がムカムカするっ・・・」


 全身に冷たい汗をかき青ざめた顔をしたトワはそう呟きます。


「あっトワ!やっと目が覚めたのね!大分うなされていたけど大丈夫?」


「・・・うんトーコ少し気分が悪いだけで、体の方は大丈夫だよ。それよりここは?」


 石灰を使用している特徴的な白色の壁と有機的な曲線が独特の雰囲気を醸し出し、窓から差し込む暖かく柔らかな陽光に包まれたベッドの上から室内を見回したトワはそうトーコに質問します。


「ここってアル・アクーサにある私の部屋じゃない・・・よね?」


「うん。ここはテューロス地方の南端にあるシン・ロンという所らしいよ?」


「シン・ロンって竜圏の聖域って呼ばれてるぐらい、特別なテューロス地方の中でも更に神聖な所だと聞いた事があるけどなんでそんな所に?」


「赤竜、ロッソさんから分け与えられたオドを上手に扱えず、高熱を出して意識を失ったトワをロブさんがここに運んで来たんだよ。ここにトワの症状を治してくれる専門家がいるって事で」


「専門家?」


「うん。確か竜伎って立場の方らしけど・・・」


「竜伎様!?」


 トーコから聞かされた固有名詞にトワは大声を上げて驚きます。


「そっ、そんなに凄い立場の方なのその竜伎・・・様って?」


 トワの余りの驚きっぷりに、たじろいたと同時に興味を持ったトーコはトワにそう尋ねます。


「う、うん私も伝え聞く話でしか知らないんだけど・・・」


 そうトーコに返答するとトワは竜伎にまつわる逸話を彼女に聞かせます。


 人類を含め全ての種族の中で唯一、四頭のドラゴン達全てと対等な関係にある事--


 四頭のドラゴン達から莫大な量のオドを分け与えられており、それを自由自在に扱える事--


 元々が凄まじい怪力とオドの持ち主で、その戦力は一国の軍隊に匹敵する--


 すば抜けた観察眼の持ち主で、一目見ただけで機士や魔導師の力量や能力、伸びしろや適性をたちどころに見抜ける--


 優れた外交手腕と政治センスの持ち主であり、またその力も相まってドラッヘ各国の首脳陣から畏怖されている--


 ここシン・ロンを中心としてドラッヘ各地に点在するドラゴンを崇める一種の宗教組織『ムンコーン』の長を務め、四頭のドラゴン達と各種族の調和と仲立ちを行っている--


 二百年近く生きているらしいが、その姿は二十代ぐらいである等々--


「へえ~そんなに凄い方なんだね」


「まあ全部人伝てに聞いた話なんだけど・・・って」


 そこまで言ったトワは何かに気付きある事を尋ねます。


「私の症状を治してくれたのって竜伎様だよね?トーコはその時お姿を見なかったの?」


「うん。ロブさんと一緒に倒れたトワをここに運び込んだ時は複数の人々に対応されたから誰が誰か解らなかったんだよ。ただ・・・」


「ただ?」


「症状を抑える為のポーションを持ってきた人が言うには、ポーションは竜伎様が直々に処方したモノって言っていたけど・・・」

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