王都アルナトラ 四節
「・・・トワさん。貴女は機士がどういった存在なのか知っていますか?」
ゾッとする程冷たい声でヒューはトワに問いかけます。
「キャバルリーを駆り、国を人々を守る尊い存在」
「全く違う。我々機士はキャバルリーと同じく存在自体が危険な殺戮兵器です・・・他者から尊ばれる存在では決して無い」
「しかしその突き抜けた戦闘能力と決戦兵器であるキャバルリーを唯一自在に操れる事から、戦争の全権代理人と認知され、国家や社会から大きな特権と資産を与えられている」
「・・・貴女は機士という生業がもたらす権益のみが目的なのですか?」
先程より更に冷たく硬い声音でヒューはそう質問します。
「それだけが全てでは無いですが・・・一番の目的はそれです」
ヒューの放つ鋭く重い圧に屈し視線を外しそうになるも、己を奮い立たせ彼の瞳を真っ直ぐに見つめトワはそうはっきりと言い放ちました。
「実に下世話で下らない理由だ・・・と門前払いにするのは簡単ですが貴女の目には強い力が宿っている」
そう述べヒューは多少圧を緩めて更に言葉を続けます。
「貴女が何故なぜそこまでして既得権益を得たいのか知りたくなりました・・・話して頂いて構いませんか?」
ヒューは改めてトワにそう問いかけました。