敗北 第六節
「ハチロウにミヤコ!それにトワとトーコさん!大丈夫か!」
いつの間にか尾根の方で戦闘していた筈のロブやジーナ、ゴドーまでも救援の為に山を下りトワ達の所に駆けつけてきました。
(数の差に個々の力量を鑑みれば流石に我々が不利か)
ディディエは駆けつけてきたロブ達をしっかり観察しそう考えついた所、ミモザから念話魔法による通話が入ります。
『ディディエ様、尾根で戦っていた同業者がやられました。とはいえ死んではおらず深手を負っている模様です』
『解った。そろそろ頃合いだな・・・我々もここらで撤退する』
『よろしいので?』
『ああ、元々我等が出張ったのはイツハク殿が安全圏に退避するまでの時間稼ぎの為だからな』
『解りました。なら早速転移魔法の準備を始めます』
『助かる。あとついでにこの場に取り残されたアリークの重傷者達も転移させられるか?』
『可能です』
『いつも無茶を言ってすまないな』
ディディエはミモザに労いの言葉を掛けると、ロブの方に向き直り改めてゆったりとコルタナを下段に構えます。
それに対応するようにロブは上段にコルタナを構え、ディディエの出方を窺いその間両者共に動かず十数秒の時が流れます。すると・・・ディディエの足下に転移魔法の術式が現れます。
「貴公、初めから戦うつもりは無かったな?」
「このギニー山脈での戦いで貴官等の強さを思い知らせた。のでここは退かせてもらう」
そう言ったのを最後にディディエとミモザ、そしてその場にいたアリークの人間や、ディディエと共に現れた傭兵機士達も転移魔法の放つ光と共にその場から消え去ってしまいました。
それを確認したロブは早速地面に倒れているトワと、いつの間にかその傍におりトワに治癒魔法を施しているトーコの所に近寄ります。