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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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敗北 第五節

「トワ!」


 その様子を傍で見ていたトーコはすかさず負傷したトワを守る為に、障壁魔法の術式を展開しようとしますが・・・


「一呼吸遅かったな魔導師」


 いつの間にかトワに息がかかる距離にまで近づいたディディエはトーコにそう呟きつつ、冷酷にそして確実にトワに止めを刺します。


 ギャン!


 聞く者に不快感を与える大音と共に繰り出された突きの浮雲を、なす術なくまともに喰らったトワは脇腹から血しぶきを上げてその場に崩れ落ちます。


「ほう、確実に心臓を刺し貫いたつもりだったが・・・咄嗟にかわしたか」


 血を流し、口からも吐血し前のめりに倒れているトワを見下しながらディディエはそう語ります。


「しかしそんな深手を負っている以上、戦うどころか立つ事さえできまい」


 そう冷たく言い放つとディディエは振り返り、今度はハチロウを仕留める為にコルタナを構え直しますが・・・


「ま、待ちやがれっ」


 その言葉に反応し振り返えるとそこには、トーコから治癒魔法を受けつつ、何とか片膝をつき震えながらも立ち上がろうとするトワの姿がありました。


「先程の戦闘で実力差は解ったろうに、なぜまた立ち上がろとする」


「うっさいわね!そんな事百も承知よ。でもそれでも機士には後に退けない戦いがたるのよ!」


 フラフラになりながらもトーコの治癒魔法のおかげで何とか立ち上がったトワはディディエにそう啖呵を切ります。


「フム成程、その言には一理ある。しかし・・・!」


 トワの言葉にディディエはそう答えながら、コルタナを力強く振るい渾身の衝撃斬を放ちます!

 ソレに即座に反応したトーコは今度こそトワを守る為に障壁魔法を展開しますが、余りに強力な一撃に術式が耐えられず障壁はあっさりと破壊されます。


「ぐわっ!」


「きゃあっ!」


 ドォゴン!という爆音と共に衝撃斬に襲われたトワとトーコは余りの威力に吹き飛び、地面に体を叩きつけられます。


「・・・そんな台詞は一人前の機士が吐くものだ。貴様の様に己のオドも満足に制御出来ない未熟な半端者が言ってよい台詞ではない」


 地べたに這いつくばり、再び脇腹の傷口から血を流すトワにディディエはそう冷たく言い放ちます。


「くっ、くそったれ!」


 ディディエの言葉に反発し、何とかそう洩らつつ己を鼓舞しトワは再び立ち上がろうとしますが・・・


(ダメだ。傷の痛みと出血、それにオドの不安定も相まって体が思うように動かないし頭もフラフラしてきた)


 そう心中で呟き、今の自分がとても立って戦える状況に無い事を解り歯噛みします。

 そしてそんなトワの様子を冷たい目で見ていたディディエは今度こそ彼女に戦う力が無いと確信すると、再びハチロウとミヤコの二人を始末しようとします。しかし・・・

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