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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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敗北 第四節

「ようやく戻ってこれたって言うか大分尾根の近くに転移させられたみたいだね」


「ここがギニー山脈・・・なんて雄大な景色なの」


「そうだね~でも今はどうやら戦闘中みたいだから、周囲に注意してトーコ」


 トワはトーコにそう促しつつ、目の前にいるディディエに注意を払います。

 するとそこにハチロウが声をかけてきます。


「ト、トワ?お前今までどこにいた?いやそれよりも今はお前の目の前にいる機士だ!強いぞ!!」


「ああ、解る。この雰囲気はただ者じゃあないね」


 トワは帯剣していたコルタナを抜くと、しっかり構えてディディエを注意深く観察します。


(構えに隙が無く。一見ゆったりとしているけど力強いオドを纏っている・・・不味いなこれは私程度では相手にならないぞ)


 トワは心中でそう呟きつつ、背中に冷や汗をかきます。一方ディディエの方はというと・・・


(なっ、なんなんだこの女は?なんてバカげた量のオドをまとわりつかせてるんだ!?)


 ディディエは今自分と向き合っているトワが全身から放つ、真紅色の膨大な量のオドに驚きつつも、何とか表面では平静を保っていました。


 トワもディディエも互いの力を警戒して、手が出せない奇妙な均衡状態に陥ります。

 そして数十秒後、先に痺れを切らしたトワは均衡を破り先にディディエに攻撃を仕掛けます。


(このままだとラチが開かない。多少強引でも先手を取った方が有利になる筈!)


 そう思い、続けて・・・


(今の私にはロッソさんから分け与えられたドラゴンのオドがある!これがあるなら格上の相手でも、多少は戦える筈だ!)


 そう思ったトワはディディエに向かいコルタナを振り上げつつ突撃しますが・・・


(不味い!体のバランスがっ!?)


 体から溢れる膨大なオド未だに制御し切れていないトワは、思わず体がつんのめり前方に倒れてそうになります。


(つっ!やばかった・・・とにかく今はこの分け与えられたオドを何とか制御しないと)


 そう考えたトワは早速、オド制御の初歩である件の呼吸法を実践し、膨大な量のオドを落ち着かせようと試みますが・・・


「・・・ダメだ多少落ち着いたけど実戦で自在に使えるレベルじゃない」


 そう思わず小声で弱音を洩らします。

 一方そんなトワの様子をじっくり観察していたディディエは、今のトワの力量に対して一つの結論を導き出します。


(成程この女、どういう訳か知らんがとんでもない量のオドを保有しているが、それをまるで制御出来ていない・・・ならば対して恐れる必要は無いか)


 そう思い至るやいなや、ディディエはトワの方に右腕をゆったりと上げると、次にそれを凄まじい速度振り下ろします。

 すると耳をつんざくような轟音が響き、数発の衝撃弾がトワを襲います!


「くっ!連装衝撃弾かっ・・・面倒な技をっ!」


 トワは愚痴を吐きながら、ディディエの右腕の動きや視線をよく観察しつつ、連装衝撃弾をギリギリの所で回避し避けきれない弾はオドを高めて防御します。が・・・


(がっ!オド制御が不安定なせいで一撃モロに喰らった!)


 衝撃弾を一発喰らったトワは、口から血を吐き苦悶の表示を浮かべてその場に膝をついてしまいます。

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