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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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敗北 第二節

 その頃ロブとジーナから支援の必要が無いと太鼓判を押されたハチロウとミヤコでしたが・・・この戦いがほぼ初めての対人戦という事もあり、二人は特にハチロウの方はテンパっていました。


(くそっ!この機士、ヒョロっとした見た目に反して中々どうして強い。どうしたらいいんだ!?)


 手に汗を滲ませながらも剣状のコルタナをしっかり握ったハチロウは心中で毒づきます。


「くそっ!どこの連中か知らんが、私の完璧な計画を邪魔しおって!絶対に許さんぞ!!」


 そう叫ぶとアリーク純血機士団の指揮官は、手にした剣状のコルタナを振り上げハチロウに向かい右袈裟斬りを繰り出します。


 ガキン!という硬質な音と共にその斬撃をコルタナで防いだハチロウは、返す刀で胴払いを繰り出します。すると・・・


「!!」


 相手機士はハチロウの斬撃を避けようとするあまり、大きく仰け反ってしまいその拍子に石に足を取られ転んでしまいます。


「こっ、これは実戦だから・・・恨まないでくれよ」


 そう声を震わせつつ、ハチロウは倒れた機士に止めを刺そうとしますが・・・


 ゴガッ!!


 鈍い音と共にハチロウは後方に思い切り吹き飛ばされて倒れてしまいます。


「ハチロウ君!」


 倒れたハチロウに直ぐ様駆け寄ったミヤコは早速ハチロウに治癒魔法を施します。


「顔面が焼ける様に熱く痛い・・・僕は何をされたんだ?」


「それが・・・突然現れた正体不明の機士から掌低を喰らったんですよ」


 ミヤコのその言葉を聞いたハチロウは、何とか首だけ動かして前方を見ます。

 するとそこには倒れているアリーク純血機士団の指揮官を庇う様に、黒い長髪を頭の後ろで結い上げた長身の男と、青色の法衣を纏った女性が立っていました。


(動きが全く見えず対応出来なかった・・・アリークの連中、まだあんな隠し球を持っていたなんて!)

 

 目の前にいる長髪の男から漲る強固なオドを目の当たりにしつつ、ハチロウは恐怖を感じます。


 そんなハチロウの感情を知らない黒い長髪の機士、ディディエ・サトリアは倒れているアリーク純血機士団の指揮官に声を掛けます。


「ご無事ですかなイツハク殿?」


「・・・見れば解るだろう。それより貴様等傭兵の出動を要請を出した覚えは無い!」


 イツハクと呼ばれたヒョロっとした中年機士は、怒りを滲ませそうディディエに詰め寄ります。


「それは申し訳ありません。しかし私共はイツハク殿達の苦戦ぶりを見て、これは手を出す必要があると判断し出撃しました」


 ディディエにそう言われたイツハクは周囲を確認すると、自分の所だけでなく尾根の方にいるロブやジーナの所にもディディエと同じ服装に装備をした数人の機士を発見しました。


「・・・貴様達、最初から我々を監視していたな?」


「まあ、いざという時の為の保険です。しかし魔導師達をほぼ討たれた後ではイツハク殿の計画は失敗したも同然ですが」


「くっ!」

 

 図星を突かれたイツハクは呻き、ディディエを睨み付けます。


「殿は我々にお任せを。イツハク殿は負傷した機士や魔導師達を連れて後退して下さい」


「そっ、そんな今さら恥知らずな真似が出来るかっ!」


「命あっての物種とも言います。それに生き永らえてさえいれば、幾らでも再起は可能でしょう」


「・・・わかった貴様の言う通りにしてやろう」


 下卑た笑みを浮かべたイツハクはそう言うと続けて・・・


「この場は貴様等に任せてやる。私が転進する時を稼ぐ為、せいぜい力を尽くせよ」


 そう尊大な様子でディディエに言い放ったイツハクは、我が身かわいさから他の負傷者を置き去りにして自分のみその場からオドを高めて、物凄い速度で逃亡します。

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