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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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赤竜の試練 第一節

「はえ~近くでみるとこんな凄い所だったんだ」


 全身に纏うオドで高標高領域独特の寒さと息苦しさを緩和しつつ、トワは目の前に広がるギニー山脈を眺めつつそう感嘆の声を上げます。


「確かにルガーブル大陸一の標高を誇る山脈だけはあるよな。これだけ綺麗で風光明媚な場所ならもっと観光客とかがいてもおかしくないのに」


 珍しくトワの意見に同調したハチロウがそう洩らします。


「土地柄仕方ない。この山脈もれっきとした竜達の聖域なんだ。俺達だって仕事でなければおいそれと立ち入ってはいけない場所ではある」


 ロブは二人にそう語りつつ歩みを進めます。そしてそれに続き冬山登山の完全装備を纏ったリャンシャン竜圏傭兵機士団の5人。ジーナ、ゴドー、ハチロウ、ミヤコそしてトワが雪がちらほら降り積もった岩場の道を登ってゆきます。


「しかしアリークの連中、全然姿を見せないわね・・・本当に私達より先行しているのかしら?」


「麓の集落で聞いた話だと、アリークの軍人っぽい連中が我々より先に山に入ったのは事実だ・・・それが証拠に我々とは違う複数の足跡が尾根の方に向かっている」


 ロブはそう言ってジーナの疑問に答えます。


「しかし足跡を辿れるとはいえ、これだけ離されていてはアリークの連中に追い付く事が出来るのでしょうか?」


「その辺りは問題ないと考えている。何せ奴らは自分達の行動が我々に筒抜けになっているとは露とも知らないだろうしそれに・・・」


「それに?」


「それにいざとなればオドで身体能力を向上させ連中に追い付き、背後から奇襲すれば良い。高山病や凍傷は魔法の効果で防げるし、なったとしても即座に治療可能だしな」


 ミヤコの質問にロブはそう答えるのでした。


「では現状このままアリークの連中に気取られないように山を登り続けるって事でしょうか?」


「そうなるな、ここで急に歩みを早めてアリークの連中に我々の存在が露見するのは面倒だからな」


「へえそうすると、暫くはこの雄大な大自然のパノラマを楽しめるという事ですね。」


「おい、物見遊山で来ている訳じゃあないんだ。もっと気を引き締めろ」


「はっ、はい!」


 そういつもとは違う状況に浮かれたトワがロブから忠告を受けた直後--


「うわ、なんだこれ!?」


 トワの足下に突如、赤く輝く謎の術式が浮かび上がります。


(何これ!?もしかしてアリークの連中の仕業?であれば皆に早く知らせないと!)


 咄嗟の出来事に多少動揺しつつも、トワは冷静に考え自身の身に起こっている異変を機士団の皆に伝えようとしますが・・・


「足下に妙な術式が!皆気をっ・・・」


 そこまで言うと術式が完全に発動し、トワはその場所から忽然と姿を消します。

 彼女が姿を消した跡には岩場と雪の混じった登山道と恐ろしい程に美しいギニー山脈の尾根、それにドラッヘの吸い込まれそうな濃紺の空が広がるばかりでした・・・



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