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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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整備班 第一節

「トワ!この大馬鹿野郎!あんな無茶苦茶な操縦をしやがって!!」


 例のレイラン国境付近での小競り合いから数日後・・・テューロス地方に幾つか存在する自治都市の一つアク・アルーサの郊外にあるキャバルリー専用の貸格納庫の一棟で、そんな大声が響き渡りました。


「ヒィ~!本当に申し訳ございませんロビン班長!」


「そう思うんならもっと機体を丁寧に扱いやがれ!」


 トワからロビンと呼ばれた、ツナギの作業着を纏い全身緑色の肌と尖った耳、禿頭に矮躯が特徴のゴブリン族の中年男性は格納庫全体に反響する程の大声でトワを叱責します。


「全くシラオキ三機の整備だけでも手間暇かかるってのに、中破したセリカまでキッチリ修理しなきゃならねぇ俺達整備班の苦労も少しは考えやがれ!」


「そっ、それはもちろん班長以下整備班の皆さんに、多大な苦労を掛けちゃってる自覚はありますよ。ただ・・・」


「ただなんだ?」


「ただなんで私が操縦して中破させたとはいえ、レイラン国土防衛機士隊の機体の修理をウチが、リャンシャン竜圏機士団整備班が担当しなきゃならないんですかね?自前で修理出来るでしょうに」


「ロブの、団長さんの話じゃレイラン側たっての希望だそうだ。何でもウチの整備班は腕が良いから、自前で修理・整備するより良い仕上がりになるからだそうだ」


 整備台に固定された本体と、分解整備と損傷・磨耗箇所の部品交換の為に本体から外された操縦席と左腕部を見やりながらロビンは少しウンザリした様子で答えます。


「へぇ~、しかし幾ら良く仕上がるといっても、国家機密の塊みたいなキャバルリーの修理を他所に、しかも傭兵に任せるとは太っ腹というか警戒心が薄いというか・・・」


「機密もクソもねぇよ。セリカもドラッヘで最も流通し運用されているパーソロン系のキャバルリーの一機種だ。装甲等はオリジナルのパーソロンから色々と手を加えられているが、中身はほぼ同一の機体だからな」


「成程だから内部構造とか重要な部分を他人に見られたり、イジられても問題は無いと」


「まぁそういうこった。因みにオレはガキの時からパーソロン系列の機体をイジくり回してきたから、コイツも目隠ししながらでも完璧に修理・整備出来るぜ」


 そうロビンは不敵に言い放ち続けて・・・


「トワよ、機密云々と言ったらウチで取り扱っているシラオキはどうなるよ?アレもアレで色々と訳ありなキャバルリーなんだぜ?」


「えっ、そうなんですか?シラオキはてっきりウチのオリジナルのオーダーメイド・キャバルリーだとばかり思ってましたが違うんですか?」


「あのなぁ・・・ウチみたいな零細傭兵機士団にゼロから新しいキャバルリーを開発・製造する資金があると思うか?」


「う~ん、無いと思いますね。じゃあシラオキは・・・もしかして!?」


「そうそのもしかしてだ」


「どこかの国、あるいは組織の製造したキャバルリーで、それをウチが買い取るか、レンタルして運用している・・・!?しかし一体どこの勢力が?」


「ファウタンガ諸島連合国だ。まあ本国仕様と異なり装甲の形状や、陸上での戦闘能力の底上げ等々のチューンナップを施しているがな」


「ファウタンガって確か、ルガーブル大陸の極東にある、幾つかの島で構成された連合国家ですよね。その国の機体がなんでウチに供給されているんですかね?」


「!おまえ団長からまだ何も聞かされていないのか?」


「聞かされるって・・・何をです?」


「・・・」


 トワがなぜリャンシャン竜圏傭兵機士団がファウタンガ諸島連合からキャバルリーを供給されているのか?またその理由を団長であるロブから聞かされていない事を知ったロビンは顔つきを険しくし、暫く沈黙します。しかし・・・


「え~い黙っていてもいずる解る事だし話ておこう!ウチは、リャンシャン竜圏傭兵機士団はな、ファウタンガ諸島連合国が創設・支援している傭兵機士団なんだ」

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