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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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初陣 第九節

 一方その頃、撤退中のアリーク純血機士団の機士達は後方の指揮所にてふんぞり返る部隊指揮官から一方的かつ理不尽な叱責を受けていました。


「全く聞くに耐えんな」


 件の左肩部装甲を青く塗装した機体を駆る、黒い長髪を頭の後で結い上げた機士はそう味方の指揮官の勝手な言い分に嫌悪感を覚えそう言い放ちます。


「口惜しいですディディエ様。我らがもっと早く戦場に出ておれば戦線を押し返す事も出来たでしょうに」


「言うな。今の我々は形式上アリークに雇われた一介の傭兵に過ぎない。指揮権があちらにある以上従うさ」


「・・・せめて搭乗機が本来のヘロディウムであれば敵に遅れを取られなかったでしょうに」


「滅多な事は言うものではない・・・先程も言ったであろう。今の我々は一傭兵に過ぎないと」


「口が過ぎました以後気を付けます」


 ディディエと自身が呼んだ機士にそう諭された機体の制御を担当している魔導師はそうすまなさそうに答えます。


「だがしかし例えヘロディウムに搭乗していたとしても、相手にあのリャンシャン竜圏傭兵機士団がいたのだ・・・苦戦は免れなかっただろう」


 そうディディエは先程の戦闘の経過を振り返りつつ、敵の戦力を正当に評価します。


「まあ今回の小競り合いの話はここまでとしよう・・・それより半年前に本国に命ぜられたあの一件は今どうなっている?」


「例のプーリタイ島のハイライン王国が召喚し、ドラゴンの手により半数程が行方知れずになっている、地球という異星から招かれた少年少女達の事ですか?」


「ああ、本国では二人保護したらしいが、それ以外の者達は以前行方不明。諜報員や乱破達が全力を上げて捜索しているが中々見つからないらしい」


「もう既に他の国家や組織が身柄を確保しているかも知れませんね」


「であればこそ、そういった裏の道にも通じている今の我々にも地球人の捜索命令が下りているのだろう」


「そうですね。今でこそこれまた本国の意向でアリークに身を置いている我々ですが、本来はテューロス地方を活動拠点にしていますからね」


「そしてテューロス地方はドラゴンの聖域として、どの国家も干渉できない自由かつ治外法権の土地。それゆえ様々な犯罪組織や勢力の温床にもなっている・・・本国が探してこいと命ずるのも無理からぬ事か」


 そうディディエはレイランの領土の遥か南、テューロス地方との丁度境界線にあたる土地に聳え立つ標高およそ3000メートル級の山々が並ぶギニー山脈を眺め、長い溜め息をつくのでした。

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