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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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初陣 第七節

(うおっ!思っていた以上に凄い震動と土煙!これがキャバルリー同士の戦闘の現場かっ!)


 機士救出の為に膝を落とした機体の近く数十メートルまで近づくトワでしたが、未だに戦闘を続けるキャバルリー同士が生み出すちょっとした地震と巻き上がる土煙に行く手を阻まれ立ち往生していましたが・・・


(ええい!ここでまごついていてもしかたない。とにかく行動あるのみ!)


 そう決意すると身に纏うオドを更に高め、大胆かつ慎重に動き戦場を突っ切ると、件の機体に辿り着きました。


「胸部装甲の一部にダメージを受けているけど損傷は浅い。これなら操縦席のハッチも開けられそうね」


 そう呟くと早速操縦席周辺の外部装甲に備え付けられている緊急用の開閉装置を起動させ、セリカのコックピット・ハッチを開きます。


「ううっ!」


「身体に目立った外傷は無し・・・意識を失っているだけか」


 うめき声を上げ操縦席に横たわった男性機士をシートから外して応急処置を施したトワはそう呟きロブに救出の連絡を行います。すると・・・


「機士の怪我は大した事はなかったか・・・では機体の方はどうだ?」


「盾と左腕部、それに胸部装甲に多少損傷を受けている様ですが、それ以外特に致命的なダメージは負ってないです」


 装着したヘッドギアと膝を落とした機体をリンクさせるとトワはロブにそう報告します。


 するとロブの口から驚きの命令が下ります。


「・・・よしその程度の損傷ならば戦列に復帰可能だな。トワ、貴様は今から怪我を負った機士の代わりに、機体を乗り継ぎ戦列に復帰し戦線を維持しろ」


「ちょっ!いきなりそんな事を言われても!?」


「私からもお願いする。やはり二機より三機いた方が、状況はかなり改善される」


 ロブの無茶振りとも言える命令に戸惑うトワに、更にカリームがそう頼んで来た事によりいよいよトワは後に退けなくなりました。


「出来るだけの事はやりますが、後はどうなっても知らないっすよ!」


 そうロブ達に愚痴りながらも、手早く操縦席の背後に格納されている補助席を引っ張り出すと、そこに件の負傷し気を失っている機士を座らせ、激しい機動に耐えられる様座席にしっかり固定します。


 そして自身は操縦シートに着座し素早く機体の再始動準備を進めていきます。


「やはり・・・先程機士の救助を求められたけど魔導師の救助は無かったって事は、この機体はアルコン制御か」


 機体の状態を細かくチェックしつつ、トワはアルコンについてロブ達リャンシャン竜圏傭兵機士団の面々に教えられた事を思い返します。


(アルコン・・・魔導師に代わりキャバルリーの機体制御を行わせる為だけに創造された人工生命体。珪素を多く含有しているスライム系の魔物をベースとして造られており、安価で大量生産が可能でかつどの機士と組んでもキャバルリーの性能を一定して引き出せるのが最大のメリット)


 アルコン搭載型の利点をトワは思い返します。また同時に・・・


(しかしながら演算能力と制御の柔軟性では魔導師に大きく劣りかつ性能面で不安定な所もあり、何より一~二回およそ十二時間程の連続稼働で壊死してしまうのが最大の欠陥・・・だったっけ)


 最大のデメリットも思い返します。


「ログを見る限りこの機体は先程整備を終えて出撃したっぽいから、すぐにアルコンがダメになるとわ思えないけど・・・一応気を付けておかなきゃね」


 そう独り言を呟き準備を終えると、機体を再起動させ立ち上がらせ素早く臨戦態勢を整えます。しかし・・・


(くっ!やっぱりトーコの機体制御に比べて色々と鈍い!)


 心の中でそう不満を洩らしつつも、トワは機体を戦場に再度進入させます。


「ただ今戦列に復帰しました。指示をお願いします!」


「了解!私が囮となって敵機を二体おさえておく。その間に貴官らは残り一機を何とか落としてくれ!」


「了解!先に仕掛けます。止めは任せました!」


「わ、解った!」

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