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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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初陣 第六節

 半年間の付き合いの中で団長であるロブや、その他のメンバーが中々の腕を誇る実力者である事をうっすらとは感じていたトワでしたが、改めてはっきりと実力と戦果を見せられた事により感嘆の声を洩らします。


(しかし幾ら利害が一致していたとはいえ凄い所に入団してしまった・・・私程度の実力でこの傭兵機士団にいて大丈夫なんだろうか?)


 自身がここにいるのは分不相応なのでは?と考えているとロブ達は、次の目標である敵中央の三機に向かい再び亜音速突入を仕掛けていました。


 その事に気付いたトワも早速ロブ達の搭乗する三機のシラオキ・D17Aを追いかけようとしましたが・・・


「トワ!貴様は左翼に展開した敵部隊と交戦しているレイラン国土防衛機士隊の戦闘を観測し、その状況を報告せよ!」


「了解!」


 即座に返答すると素早く身に纏うオドを高めて、移動能力を底上げし戦場を駆け抜けつつ、ヘッドギアに映し出された戦術データ・リンクを眺め現在の左翼の状態を確認します。


(敵・味方の識別マークが三機ずつ、合計六機が重なりあっているからまだ敵も味方も撃墜されてないみたいだけど・・・ややレイラン側が圧されてる?)


 戦術データ・リンクを眺めそう感じたトワでしたが、今はとにかく正確な情報を得る為にレイラン国土防衛機士隊と敵部隊が戦闘を行っている戦域に向かう事を最優先として行動します。


 やがてトワが戦域に辿り着いた所。やはりレイラン側は苦戦しており一方的な防戦を強いられていました。


(やはり押されてる。しかし見た所両者共に操縦技量に大差は無い。とすると圧されてる理由は・・・機体の差か)


 アリーク側はあまり出来の良いとは言えないライセンス生産機とはいえ、新鋭機を運用しているのに対しレイラン国土防衛機士隊の主力キャバルリーはシュクルと同じくパーソロン系列のサンドカラーの装甲色が特徴のセリカという機体で、こちらもシュクルと同じく平均的な性能と扱い易いという特徴を持つが、設計・開発が古く性能面では新鋭機に一歩も二歩も譲るという事実を悟ったトワは早速その事をロブに報告します。


「そちらの状況は解った。我々も直ぐに救援に向かう・・・と言いたい所だがこちらも敵に手練れの機体、恐らく我々と同じ傭兵が搭乗する機体がいて中々苦戦しているので今すぐそちらに向かうのは難しい」


「では一体どうします?」


「レイランの指揮官に出来るだけ長く戦線を保たせるように伝える。あと貴様は何があってもよい様に観測を続けよ」


「解りました」


 トワがそう返答した直後--


 ズガン!という轟音と共に敵の攻撃を喰らった一機のセリカが膝を落とし沈黙します。


「つ!何があった!」


「レイラン国土防衛機士隊のキャバルリーが一機やられました!」


「やられた機体の状態はどんな感じだ」


「盾及び盾を装着していた左腕部、それに胸部装甲に軽度の損傷を受けてるみたいです」


「これで二対三。レイラン側はますます不利か・・・依頼主をやられれば我々の信用に関わる。ここは少し無茶をしてでもレイランの救援を・・・」


「いや待ってくれ!こちらは何とか二機で保たせる。だからリャンシャン竜圏機士団はこのまま中央のアリーク側の主力を追い込み潰して欲しい」


 トワの返答にロブがレイランの部隊救援を決めようとしたその時、第三者の声が通信に割り込みを掛けてきました。


「カリーム機士隊隊長・・・本当にそれで構わないんだな?」


「ああ、我々なら大丈夫だ。ただやられた機体に搭乗している機士のバイタル・サインは消えていないので、彼の救出を頼みたい」


 ロブからカリームと呼ばれたレイラン国土防衛機士隊を率いる壮年の男性は、どっしりとした声でロブにそう新たな依頼を要請します。


「トワ、今の話は聞いていたな?なら現場に最も近い貴様が行って救出を実行せよ!」


「は、はい了解しました!」


 敵・味方のキャバルリーが入り乱れ戦闘を行っている最中を突っ切っていかねばならない事に恐怖を覚えつつも、トワは半ばヤケ気味に応えて行動に移ります。

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