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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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初陣 第五節

「あれから半年・・・団長の言葉通り、ウチの傭兵機士団に地球人を見た。あるいはその地球人らしき人物の身柄を保護した。あるいは売買したなんて情報は入って来てるけど・・・未だにトーコに関する情報は皆無」


 岩陰に身を潜めたトワは表情を曇らせ小さく呟き、最悪の結果を想像してしまいます。


(・・・いやまだ私達の情報網に引っ掛かっていないだけで、もうどこかの国や組織や個人に保護されているかもしれないないじゃない・・・希望を捨てるにはまだ早い)


 そうトーコが生きて元気でいる事を強く願ったトワはかぶり振ると、雑念をはらい現在の任務に集中します。


 そしてそんなタイミングを見計らうかのようにロブから通信が入ります。


「私だ。あと少しで出撃する。中継ポッドを起動しておけ」


「了解しました!」


 そう快活に返答したトワは、一番最初に身を伏せていた場所に置いていた幅およそ50センチ、奥行きおよそ60センチ、高さおよそ130センチ程の直方体の機械を素早く取りに戻り、身に纏うオドをほんの少し強めてその機械を軽々持ち上げると、岩場から離れた開けた場所に設置します。


(この機械が中継ポッド・・・正式名称は通信量増幅魔導器だったけ?)


 そうヒューとの座学で習った事を思い出しつつ中継ポッドを起動させます。


 すると直方体の一部が変形して、四方にアンテナを突き出しました。


(こいつを使えば戦術データ・リンクだったけ?歩兵や乱破、キャバルリーやカミオンそれに指揮所が元々使えるそれぞれの情報の共有化能力が更に増大するんだったけ)


 自身の目から見たら、異形の直方体がブゥゥンと低い稼働音を立てて動いている様子を眺め、さらに復習を兼ねて習った事を思い出します。


(実際、起動させて解った事だけどコイツの情報の共有能力増大はちょっとバカに出来ない)


 装着しているヘッドギアに備え付けられている高解像度網膜投影システムには敵・味方の識別記号に位置、地形、天候等の戦場の情報がリアルタイムで更新されている様子を目の当たりにしてトワは素直に感嘆します。


 と、その時未だ前線から離れていた味方の識別マーク、正式にはリャンシャン竜圏傭兵機士団所属の識別マークが標示された三機のキャバルリーが一斉かつ急速に動き、十時方向より接近してきた敵キャバルリーに襲い掛かります!


「亜音速突入!団長達先手を取ったの!?」


 トワは叫びロブ達が突入していった方角に移動し、目視で戦闘の様子を観測します。


「なんと・・・もう敵を一機、撃墜しかけている!」


 トワの視線の先には敵キャバルリー、クサントス・フレームを採用している角張った装甲と緑を基調とした迷彩色のカラーリングが特徴の汎用ライセンス生産機クラナック・ネザレより一回り小さいペーダソス・フレームのカスタム機でリャンシャン竜圏傭兵機士団の主力キャバルリーであり白い装甲色と優美な曲線の装甲が目を引くシラオキ・D17Aが、敵機の懐に飛び込むと保持した戦斧型のコルタナを振るっていました。


 ガコン!


 戦斧を思い切り叩きつけられた敵機の胸部装甲は大きくひしゃげ思わずよろめきます。


「ジーナ!こいつの止めは任せた!」


「了解団長!」


 ジーナは即答すると、機体両手それぞれで保持しているブーメランに似た形状を持ち、打撃にも投擲にも使用出来るガ・ヒョウという特殊なコルタナを器用に振り抜きます。


 ドガン!


 ガ・ヒョウの直撃をモロに喰らった敵機はバラバラに崩れて沈黙します。


 その間にもロブは次の敵機に先程と同じ様に襲い掛かり、敵機の盾とそれを保持する左腕に大きな損傷を与えますが・・・そこに残りの一機が割り込みをかけ味方を助けようとします。


「心意気は買うが・・・そうそう好きにはさせん!」


 ロブはそう言いつつ冷静に迫る敵機の斬撃を、左腕に装着した盾で受け止めいなし、敵機の重心をぐらつかせるとそのまま体勢を入れ替えて敵機を引き倒します。


「ハチロウ!転がしたコイツに早く止めをさせっ!」


「りっ、了解!」


 ロブにハチロウと呼ばれたトワと同い年の少年で、トワより少しだけ先輩の団員は実戦の緊張からかキョドりながら返答しつつ、自身の機体が保持した剣型のコルタナを振るいます。


 ガッシャン!


 転倒している所にモロに斬撃を喰らった敵機は、不快な金属音と共に沈みました。


 そうこうしている間にもロブは自身が損傷させた最後の一機に止めをさし、リャンシャン竜圏傭兵機士団の三機はものの数十秒の間に三機の敵キャバルリーを撃破してしまいました。


「・・・凄い。これが団長達の実力なのか!」



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