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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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初陣 第二節

「痛っつつ!」


 頭の中を一瞬走った痛みによりトワは目を覚ましました。


「・・・私何してたんだっけ?」


 未だ朦朧とする意識の中で、トワは自分が今までどこで何をしていたのかを思い出そうとします。


「あ~私は確か地球人と一騎討ちをしていてそして・・・!」


 そこで何かに気が付いたトワはすかさず自身の右足と首と心臓に異常が無いか確かめます。


「・・・どこも負傷していない・・・一体何がどうなっているのよ!?」


 トワは一騎討ちに敗北しあの地球人、ジングウジ・ヒロキのコルタナで右足と頸動脈を斬られ更に心臓を貫かれ瀕死の重症を負ったにも関わらず、その傷が全てキレイさっぱり治っている事に喜びより困惑を覚えますが・・・


『命は助けてやる。後の事は自分でどうにかせよ』


「ああ、あの声のおかげで助かったのか・・・」


 重傷を負い生死の境をさまよっていた時、唐突に頭の中に響いたあの厳かな声により自分は助かったのだとボンヤリと納得したトワでしたが更に重大な問題に直面します。


「って言うか・・・ココどこ?」


 トワが目覚めた場所は色とりどりの花が咲き乱れる花畑のど真ん中。


 目に写るのは360度見渡す限りの地平線で、その大半がトワが現在いる花畑か草原というこれでもかというぐらい自然豊かな場所で、お世辞にも肥沃な土地が少ないハイライン王国ではない事は確かでした。


「いやマジで参ったな・・・でもココで蹲ってアレコレ考えていてもどうにもならない。とにかく動くか!」


 そう言って立ち上がるととにかく自分が今どこにいるのかを確かめる為に歩き出します。


 そうして暫く歩き続けていると・・・


「コレはもしかしてカミオン専用のハイウェイって奴か!」


 トワは師であるヒューの座学で学んだハイライン王国には存在しないカミオン専用の高速道路を発見します。


「これがもし本当にハイウェイなら道路のどちらかを進んでいけば、どこかの街に辿り着ける筈・・・」


 ハイウェイを発見しそう呟いた後道路の左右を見渡したトワは右側の遠方に街らしき影を発見したのでそちらに歩いていく事にしました。


 そうして暫くゆっくりと歩みを進めているとハイウェイの途中で道路の行先を示す巨大な標識を発見した為、早速それを確認するのでしたが・・・


「なっ、何だって!?」


 標識にドラッヘ共通言語で書かれていた文字・・・テューロス地方標識、このまま北に35キロ先アル・アクーサ。という文字を読み取ったトワは大いに動揺します。


「テュ、テューロス地方って確かヒューさんに教わった大陸にあるドラゴンの聖域と呼ばれる土地だった筈・・・つまりここってルガーブル大陸って事!?」


 道のど真ん中で叫んだトワは同時に結構なパニック状態に陥ります。


「いやマジで訳が解らない!少し気を失っている間に私はなんでこんな遠方の見知らぬ土地にいるのよ!?」


 そう喚いてますます混乱状態になりかけますが・・・


「真面目に今も混乱してるけど・・・ここでギャーギャー喚き散らしてても仕方ないよね」


 一度落ち着きを取り戻したトワは、深く静かに呼吸し心と身に纏うオドをゆったりとさせて今後の事について考えます。


「とにかく当初の目的通り街を目指そう・・・所持金はあんまりないけど、いやそれ以前にハイライン王国の貨幣が大陸で使えるかどうかも解らないけど、まあ無いよりマシか」


 件の一騎討ちの影響でかなりボロボロになった装甲服のポケットから非常時にストックしていた数枚の貨幣を眺めつつそう呟くと道なりに歩いてゆきます。


 そうしてハイウェイの脇の草地を数十分程歩いていると、道路上を走る恐らくキャバルリー運搬用であろう大型のカミオンがトワの目前を一旦走り去ると数メートル先で停車し、運転席から長く黒っぽい髪をポニーテールに結い上げた浅黒い肌をした妙齢の女性が降りて来て突然トワに話し掛けて来ました。

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