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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
49/147

始まりの終わり 十一節

 十数分後--


 観覧ステージに戻ってきたヒューは早速ロブに話しかけられます。


「よう、おまえさんの徒弟はどうだった?」


「ケガのほうは軽い打ち身で済みましたよ・・・心のほうもまだ闘志は萎えていませんでした」


「そりゃ良かった・・・でおまえのつれている女の子は一体何者だい?」


「例の召喚された地球人の一人です。訳あって私の徒弟と組んでシュクルの制御を担当していました」


「へ~え君がね」


 そう言いつつロブは値踏みするようにトーコの姿を頭のてっぺんからつま先までじっくりと観察します。


 そのロブの無遠慮な視線に少し嫌な感じがしたトーコはヒューの陰に入り姿を隠します。


「ロブさん、初対面の女性にそういう視線を送るのは少々不躾では?」


「おっと私とした事がつい興味をそそられて、礼を欠く行為をしてしまった。本当に申し訳ない」


 ロブはそう言ってヒューとその陰に隠れているトーコに謝罪し、続いて自己紹介を行います。


「私の名前はロブ・ウェッティンガム。大陸の方で傭兵稼業などをしており、バンベリー卿は古い知り合いです」


「ど、どうも私は水上藤子って言います。さっきバンベリー先生が言ってたように召喚された地球人の一人です」


 二人がそんな風に挨拶を交わしていると、観覧ステージから見下ろせる位置に設けられた闘技場から、銅鑼の音が派手に響きました。


 その音を合図とし観覧ステージの下の左側の通路から、ジングウジ・ヒロキが姿を現します。


 その姿を見て観覧ステージの大半の人々は彼に拍手を送り歓声を上げます。またボックス席にいる王女様を筆頭に貴族のご令嬢の方々は、彼のハンサムで優しげな笑みにすっかり魅了され黄色い声を上げるのでした。


 一方ネヴォラス機士団の団員達は彼を含む地球人の事を全く気に入っていませんでしたが、国王や有力貴族達が見ている手前、反抗的な態度は取れない為に渋々彼に拍手を送るのでした。


 続いて西側の通路からトワが姿を現すと・・・それまでの雰囲気と打って変わり観覧ステージの観客達は口々に戸惑いの声を上げ始めます。


「なんだあの娘は?」


「機士団の軍服を着ていないという事は一般人か?」


「髪の毛や肌の色は地球の勇者達に似ているが・・・」


「纏っているオドが貧弱だ・・・地球の人ではない。だとすると何者だ?」


 観客席からそんな声が次々に上がり、更にはボックス席に設けられた玉座から立ち上がった国王が何が起こっているかネヴォラス機士団の団長を呼びつけ、団員達の座る観客席を睨みますが・・・国王の側に控えていたマキロフが何か国王に耳打ちした事により、怒りと機士団に対する疑念を収めます。


 そうこう周囲が騒いでいる中、闘技場では審判に促されるまま服と軽い鎧が一つとなった一種の装甲服を身に纏ったトワとジングウジ・ヒロキが対戦前の儀式として握手を交わします。


「さっきはどーも。一撃で倒そうと思えば何時でも出来たのにワザワザいたぶってくれたね」


「ハハハすまない。どうしてもフロリゼルの強い姿をなるだけ長く見せろと上から指示があったからね」


 トワが毒を吐くも、ヒロキはそう軽やかな口調で返します。そして・・・


「こちらこそ、あの背車刀からの刺突には舌を巻いたよ。結局対応出来ず機体を損傷させられた訳だからね」


「そりゃどーも」


「今回もどんな奇策・奇襲を仕掛けて来るか楽しみにしているよ」


 トワのぶっきらぼうな態度に対してヒロキは最後まで爽やかに接するのでした。


 そうしていると審判は闘技場に設けられている魔導器を操作し、戦闘の余波が観覧ステージまで及ばないように闘技場の周囲に障壁魔法を展開すると、自身も戦闘に巻き込まれないように闘技場からすかさず離れて後戦闘開始の合図を送ります。


こうしてトワとヒロキの一対一の戦いの火蓋は切って落とされました。

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