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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
47/147

始まりの終わり 九節

 同刻--


 件の観覧ステージにおいて一騎討ちの成り行きを固唾を飲んで見守ってヒューとロブは余りに衝撃的な場面を見せられ、しばらく黙りこくっていましたがやがて重い口を開きます。


「・・・盾で斬撃を弾かれた反動を利用し、咄嗟に背車刀を繰り出しフロリゼルに一撃を加えた。それまでは良いしかし・・・」


「その直後、フロリゼルの握っていたコルタナの刀身部分だけが忽然と消え去ったかと思ったら・・・シュクルの背後の空間に突然現れ右薙に胴体を斬り払った」


「その結果シュクルの上半身と下半身は無残に分断され破壊されたと・・・」


「アレは間違いなく時空間を操る系統の魔法だ。だとすると・・・」


「魔導師で機体制御を担当しているフジサワ・トモヤ君は機械にそれに関する魔法に特化し更に造詣が深かった筈ですから、あの手の魔法は使えないと思われます」


「だとするなら魔法を使用したのは機士って事になる・・・まさか魔導機士まで招く事に成功しているとはな


「魔導機士。読んで字の如く機士と魔導師その両方の素質を産まれながら持ち合わせる生まれながらの天才。このドラッへですら100年に一人生まれてくるかいなかというぐらい稀有な存在・・・」


「そんな化物が相手ならまあ負けた所でしかたない・・・というよりおまえさんの徒弟はそんな奴相手によく善戦した方さ」


 ロブはそう述べてヒューを慰めますが、彼は自身の見通しの甘さと同時に、フロリゼルの事やそれに搭乗する機士の詳細な情報を把握し、トワに伝えられなかった事を悔やみ俯きます。


「・・・」


 ヒューがそうして悔恨の念にかられ沈黙しているのをよそに、周囲の観客席を含むステージ全体からフロリゼルの勝利を祝う拍手が巻き起こり、更に投影魔法により映し出されたジングウジ・ヒロキとフジサワ・トモヤの二人の地球人が搭乗していた機体から降り立ち、ステージに向かい優雅な仕草で一礼すると観客達のボルテージは一気に上がりお祭り騒ぎになりました。しかし・・・


「道化にされるのは最初から解っていたがいくらなんでもこれはあんまりではないかっ!・・・いやこれは私の無力が招いた結果だ。怒る権利などハナから存在しない・・・か」


 投影魔法に映し出された画面の隅、破壊されたシュクルから整備員達の手により救出されたトワとトーコの姿を凝視しながら、ヒューは心中でそう己を呪う言葉を絞り出すのでした。

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