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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
46/147

始まりの終わり 八節

 トーコはそう返答するとコンソールを操作します。すると・・・シュクルの腰部背面装甲からポンポンという気の抜けた音と共に円筒形の物体が機体八方に射出されます。


 そしてそれらが地面に接触した瞬間--


 パパパパパァン!


 そんな乾いた音を発すると同時に猛烈な勢いで白煙を噴き出し始めました。


 またそれと同じタイミングでシュクルも機体胸部装甲及び腰部前面装甲からやはり白煙を噴き出し、撒き散らした為にたったの数秒で周囲一面が煙に覆われてしまうのでした。


 この状況の変化にさしものフロリゼルも困惑し、シュクルの姿を見失います。


(今だっ!)


 心中でそう叫んだトワはすかさず舞い上がる煙の中で機体を高速移動させ、フロリゼルの死角からコルタナを振るう・・・ように見せかけある物を放ります。


 そしてフロリゼルとそれを操る機士、ジングウジ・ヒロキが異常なまでの動体視力とそれに追従する機体性能をフルに発揮し、そのある物を左腕に装着された盾で受け止めたその時--


 耳がどうにかなってしまいそうな程の大音量が響き、かつ同時にキャバルリーの眼部センサーを一瞬ダウンさせる程の閃光が発生します。


「かなり邪道だけど・・・勝負なんでねっ!」


 そうトワは叫び、待ってましたとばかりにフロリゼルの背後から、キャバルリーの最大の弱点である背骨部フレーム・ブロックに斬り掛かります。しかし・・・


 ガキン!


 この最悪の視界の中。フロリゼルはまるで後ろにも目があるかのように動き、右腕に装着された盾でシュクルの斬撃を難なく防ぎます。


「嘘でしょ!?・・・けどまだまだっ!!」


 トワはこれだけ自分達に有利な状況を何とか作り出しても、それを軽く上回るフロリゼルとそれを操る機士の高い技量に改めて舌を巻きますが・・・そこで諦めずしつこく喰らいつきます。


「こなくそ!」


 トワは咄嗟に敵の盾に防がれ弾かれたコルタナをそのまま機体背面にまで回し、右手から左手に持ち替え機体全体を捻らせつつ渾身の刺突を放ちます。


 ギャン!ガシャアアアッ!!


 あまりにトリッキーな攻撃であった為にフロリゼルは対応に遅れ、シュクルの放った刺突をモロに喰らってしまいます。


 その結果フロリゼルの頭部装甲と鶏冠状のパーツの一部が無残にも破壊され、力強さと優美さを誇っていたその姿が多少ではあるものの損なわれてしまいます。


「偶然だけど、とにかく一撃入れれた・・・決して絶対に敵わない相手じゃない!」


「だね。このまま神宮寺君達のペースを乱し続ければ勝ち目はあるかも」


 搦め手ではあるものの、遥かに格上の相手にダメージを負わせた事により興奮したトワにトーコがそう答え、勝ち目があるかも知れないと返した次の瞬間--


ズバン!


「へっ?」


「えっ?」


 そんな強烈な音を一瞬耳にした二人は、視界が突然暗転している事に気付き、間の抜けた声を上げそして・・・機体機能が全てダウンし死んでゆくシュクルの中で何が起きたか解らないまま、続いて起きた強い衝撃に襲われ意識を失うのでした。

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