始まりの終わり 七節
トワがそう泣き言を叫んだ次の瞬間--
ズドォン!
轟音と共にフロリゼルが超高速で放った斬撃が衝撃波となりシュクルに襲いかかります。
「このバカみたいにデカイ音はもしかして・・・衝撃斬!?」
そう言って相手の攻撃を見抜いたトワでしたが・・・回避する時間も技術も無かった為に左腕に装着した盾で衝撃波を防ぎます。しかし--
ベキッ!パアアアン!
攻撃を受けた五角形の形をしたクラッシャブル構造の盾は、機体左腕の懸架パーツごと無残に破壊されてしまいました。
「衝撃斬。オドを巧みに操りコルタナをとてつもない速度で振るい衝撃波を打ち出す剣技・・・あんな高等技術まで習得していたのか!いや第三階梯にまで至っているなら不思議ではないか」
トワは対戦相手の高い技術と戦闘力に舌を巻きます。しかしそれと同時にある疑問を抱きます。
(今の一撃、初撃に比べて遥かに軽かった・・・どういうつもり?)
機士の力量差に機体の性能差を考えるなら、先程の一撃でシュクルをバラバラに破壊する事も可能であったにも関わらず、それを行わなかった事にトワは疑問を覚えます。
しかしそんな事を考えている間にもフロリゼルは攻撃の手を止める事はありませんでした。
ヒュゴウ!ガシャン!!
立て続けに繰り出された斬撃により、シュクルの左肩装甲部は砕け、右脚部装甲は破壊こそ免れましたが大きなヘコミと亀裂を生み出します。
「ぐえっ!こんのいたぶって楽しんでるのかっ!?」
トワはそう悪態をつきつつ、苦し紛れに唐竹にコルタナを高速で振るいどうにか衝撃波を打ち出しますが・・・
シュウウウウ・・・
搭乗している機体がダメージを負っている事に加え、何より腕前が未だ遥か未熟である事から、打ち出された斬撃は相手に届かず数メートル進んだ所で消滅してしまうのでした。
「クソッ!このまま距離を開けられたままだとジリ貧だ・・・何とか近付いて相手に直接斬撃を叩き込まないと」
「私もトワに賛成。でも問題はどうやって近づくかよね・・・」
トーコはコンソールを目にも止まらぬ指捌きで操作し、機体のダメージ・コントロールを実行しつつトワにそう返答します。
トワはそのトーコの言葉を聞き、一瞬何かを考えある策を閃きます。
「トーコ、機体の副兵装ユニットは無事?」
「無事だけどたの兵装に使える物なんて・・・あっ!」
「そういう事!それじゃあ早速やっちゃって頂戴!」
「解った!」